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あの出来事があって数年が経ち、Aは助けてくれた恩師であり育ての桑島慈悟郎の元で呼吸と剣術を磨き、鬼殺隊に入隊した。
Aは鬼殺隊入隊後、目まぐるしく鬼を迅速に討伐していき今では柱になる一歩手前の
そんなAはこの日鬼の討伐を終え、休息がてら鬼殺隊員には無償で休息を取ることができる藤の花の家紋の家に向かって歩いていた。
しかしその道中、たまたま通り掛かった道に年配の老人が一人の少年を打とうと手を出す所を目にした。
『なぁアンタ』
「なんだ!!」
『何自分より一回りも、二回りも小さい子供に手出そうとしてんだよ』
Aが咄嗟に老人の腕を掴むと、その老人は目の前の腰を抜かして涙が目頭に溜まっている少年を指さすと血管を浮き出して怒鳴り散らし始めた。
「このネズミ小僧がこの儂にぶつかって来たのだ!
きっと自身より金を持っている儂を狙って盗ろうとしたに違いない!」
『……なぁお前、コイツの言ってることは本当か?』
Aは少年に目線を合わせる為に膝を着いて問うと、その少年は「違う」というように首を横に振った。
『なぁ旦那……この少年は盗みを働かせた訳では無い。もしそれでも許さないのであれば、俺を殴ればいい。コイツは関係ない』
Aは少年から目線を逸らすと老人の方を向いて立ち上がると、その老人に向けて頭を下げた。
その様子に周りの通行人もザワザワし始めると、その老人は「誤解されるようなことをするな」と少年に言ってその場を立ち去った。
周りにいた人もその様子を見届けると、ぞろぞろとその場を去っていった為にAは自身の目の前に座り込んでいる少年に声を掛けた。
『お前さ、結構傷だらけだし俺と一緒に来ないか?……別に同情してるつもりは一切ない』
「……で、でも俺が近くにいれば命の恩人でもあるアンタが酷い仕打ちを受けるかもしれない」
少年がAにそう言うと、Aは歯を見せて笑うと少年の頭をワシワシと撫でて『気にしなくてもいい』と一言言った。
その一言があってかボロボロになった少年は、Aの服の裾を掴むと2人は共に藤の花の家紋の家に向かって歩いて行った。
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作者名:シフォンヌ | 作成日時:2023年5月8日 2時