【HIGH ＆ LOW】横浜天竺の兄妹はSWORD地区へ【東リべ】 (ページ14)

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泰志side

清志達と別れた俺は、家の帰路に向けて一通りの少ない小道を歩いていた。

俺の運がいいのか悪いのか、昼間に司んとこの奴が話していた灰色の制服にハゲ頭の軍団が鉄パイプやらを持って俺の行く手を塞ぐようにして囲んだ。

『何だ、おめぇら？』
｢鬼邪高のモンだな？｣
『あ？』

すぐ様喧嘩を吹っ掛けようとした時、相手の1人が後ろに回っていたことに気が付かなかった俺は、不覚にもバットみたいな物によって殴られた。

俺は一時の抵抗のために近くにあった物を蹴り飛ばそうとするも、相手の方が人数的にも有利な為に呆気なくやられた。

相手の頭のような奴の話によると、俺ら鬼邪高生がいると奴らの仕事になんねぇらしい。

あの後も抵抗がてらに複数人対俺でやり合ってはいたが、やはり人数は減らずに、俺は相手が立ち去ってからゴミが纏まって置かれていた場所に背中を打ち付けて少し休もうとした。

その時、相手がいなくなってからの小道を俺の目線の先で2つのライトが辺りを照らしながら近づいてくる音がして、その灯りの方に目を向けた。

｢アンタ……｣
｢オマエ、泰清一派のアタマの1人じゃん｣
『あ？……よりによって、テメェらかよ……』

俺は、殴られた頭を抑えてよろめきながらも歩こうとした時、目の前にいる天竺一派とかいうヤツらの中で見たことの無い奴が俺の腕を掴んでいた。

ソイツの顔を見ると、頭から左側に掛けて傷跡があって赤とグレーのオッドアイに坊主頭をしていた。

｢カクチョー、オレの携帯からこの近くにある病院に電話しろ……A、今回は貸しとしてコイツを後ろに乗せてやれ｣
｢ウン……分かった｣

カクチョーと呼ばれた男が俺が倒れないようにか、腕を掴みながら携帯に電話をしている時、天竺一派の女の方が俺に向かって自身のバイクの後ろに乗るように言った。

小道から出て、大通りみたいな所に出ると俺は目の前にいる女の華奢な腰に片手を回してコイツらに問いかけた。

『テメェら……何で敵対してる一派の俺なんかのこと、助けたりした』
｢アンタのその頭の怪我を見てると、あの時見殺しにした血の繋がりのない妹の光景とあうのよ｣
｢まぁ……罪滅ぼしみたいなモンだな｣

そう天竺一派のアタマの2人が言うと、俺の目の前でバイクを運転している女……Aとコイツの兄が夜で辺りが暗くなっていてもどこまでも続く空を一瞬見て、病院まで向かった。

その道中に、Aが小さく｢エマ……シンイチロー｣と知り合いの名前を呟いていることを俺は聞き逃すことはなく、その小さな声はコイツらの乗っているバイクの音で掻き消されて消えた。