あなたに届ける、最後の想い ページ43
ｰ菖ｰ
「薫さん、すみません。Aさん見ませんでしたか？」
「A？今日は菖ちゃんといるんじゃないの？」
「朝からいないんです。外もまわってきたんですけど……」
もう夕餉の時刻。
朝から1度も見ていないのですが、どこにいるのでしょうか。
最近、何やら1人で考え事をしていたみたいですが……
誰かに相談ですかね？
だったら構いませんけど……
どうして、私に言ってくださらないのでしょう。
「菖ちゃん、今日は久しぶりに牛鍋食べに行こうか」
「え、あ……はい! 左之助さんと弥彦君も呼びましょう」
「……ごちそうさまでした!美味しかったです」
「あら、もういいの？」
「はい。結構食べましたよ？」
嘘。
いつもの半分くらいしか食べていません。
何故だか、嫌な予感がして。
Aさんの声が聞こえなくなる気がして。
「薫さん、すみませんが私先に帰らせていただきます。お風呂、お湯張っておきますね」
「ええ、ありがとう」
どこに、どこにいるのでしょう。
探さないと。
消えてしまう前に。
会いたい、どうしても会いたい。
あの人は、Aさんは私の恩人だから。
「……わぁ、っ」
「あ？なんだてめぇ」
……ダメ、こんなところで立ち止まっていたら。
追い付けなくなっちゃう、それは嫌だ。
走る、全力で。
後ろに、追いついてみせます。
だから、教えてください。
あなたが抱えていること、知りたいこと。
全部、教えてください。
「はぁ、はぁ……。Aさん、いますか」
音がない。
自分の声だけが、響きわたる。
1度、家を見てまわりましょう。
きっと、どこかで寝ているんですよ。
きっと、あと五分なんて言いますよ。
ねぇ、Aさん……。
「なんで、置いていくんですか」
私とAさんの部屋。
やっぱり、いない。
……布団に、黒い墨がついている？
Aさん、何か書いたのでしょうか。
……置き手紙？
私宛の……。
酷いです、私のこと嫌いじゃないなんて。
酷いです、私のこと好きだって。
酷いです、いつもみたいに汚い字で。
酷いです、酷いですよ……。
『菖、私のこと探したかな。ごめんね、この手紙を読んでいる頃、私はもうこの地を去っている。菖のことが嫌なわけじゃない、自分のために行くよ。どうかお元気で、またいつか会おう。大好きだよ、菖』
心配と哀愁は素直な愛情の話に変わった→←いや、その……うん。接吻は初めてじゃないしぃ〜？
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小桜(プロフ) - 最近るろうに剣心にハマって、この作品を見つけました。起承転結があって、とっても面白かったです！ (2021年4月21日 20時) (
レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます(≧∀≦)面白かったです(≧∀≦)続きが、すごく気になります(≧∀≦)これからも、頑張って下さい(≧∀≦) (2018年4月8日 23時) (レス) id: e4c62973b8 (このIDを非表示/違反報告)
ZR(プロフ) - 桜来さん» ありがとうございます。更新頑張るので、よかったら応援よろしくお願いします…! (2017年4月8日 18時) (レス) id: cb84748bfb (このIDを非表示/違反報告)
桜来 - 続き気になります！この小説大好きです！ (2017年4月8日 16時) (レス) id: 578363f920 (このIDを非表示/違反報告)
nana☆(プロフ) - ZRさん» いえいえ(´∀｀*) (2016年10月10日 23時) (レス) id: c577ffdbde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ZR | 作成日時：2016年3月19日 23時
