混ぜたら何色？【完結】 (ページ18)

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「帰った…？」

ゆっくりと部屋に戻ると、布団を被った北斗が小さな声で聞いてきた

「帰ったよ。大丈夫？」

「うん…何の話だったの、」

「それはね…えーと、」

北斗に駆け寄るジェシーは言葉の続きに迷っている

そのまま正直に告げるべきか、否か

「お前に遺産が入るって」

迷わず言った俺に驚いた顔で振り向くジェシー

そして軽く震えた北斗

「死んだんだ、あのおじいさん。長かったね、」

そう言って微笑んだ北斗は、

普段は全く見せない暗い目をした

もっと早く居なくなればいいと思ってたけど、

そんなことを少しも表情を変えずに言う北斗が本来の北斗だった

「北斗はどうしたい？」

「…貰うよ。いっぱい奪われたんだもん、お金くらいつかってもいいよね」

ジェシーと居続けることでしばらく見せなかった暗くて黒い目

俺と居ると二人で堕ちていきそうだったのにな、

「そっか。じゃあ今度あのババア来たらそうやって言うよ！」

「…んん、俺が自分で出るよ。もう二度と会うこともないしね」

暗くなった目からも少し光が見える気がして、

それが嬉しくもあり少し寂しくもある

なんて思う俺はなかなか最低な奴だとと思う

「樹は…どう思う？」

「…お前の好きなようにしろよ。俺はお前が決めたことなら全部正しいと思う」

「…樹なら、そう言ってくれると思った」

「北斗！俺も言うよ！樹だけじゃないよ！」

頭をくしゃくしゃに撫でられる北斗は微笑んでいて、

いつの間にか光の宿った目になっていた

「いくらか貰えるかわかんないけど、家買えるかな」

ワクワクした様子で言った北斗に続けて、俺も言った

「一軒家買えたとしても寝室は一つな」