混ぜたら何色？【完結】 (ページ16)

今日:20 hit、昨日:14 hit、合計:127,575 hit

・ページ16

・

「オ、オバ…ッ！」

ソイツはオバサンと呼ばれたことが信じられないみたいな顔をしてヒステリックに声を上げた

「近所迷惑でケーサツ呼ぶけど」

「ハァ！？」

ケーサツ、の言葉に突然息を吹き返したのかまた金切り声

「あいつ、あいつ出しなさいよ！」

「あいつって誰、」

「名前なんて覚えてないわよ！とにかくタカシの息子出しなさいよ！」

…名前なんて覚えてない、

これがこの世の中の大人か

北斗の両親が死んで親戚中たらい回しにされ、最後に行き着いたのがこのオバサンの家

北斗は多くは語らないけどそれはそれは酷い扱いを受けたらしい

北斗の左肩に残る火傷もコイツのせいだった

「今更何の用だよ、捨てたくせに」

2歳頃に北斗は園の玄関に置き去りにされた

ガリガリで栄養失調で倒れる寸前だったと、園長先生から聞いている

「…あら、あんたあの園の子？」

北斗を捨てた後、一度コイツは園を訪れている

北斗が肩身として持っていたペンダントを奪うために

おとーさんの、ほくのおとーさんのだよ！

泣き叫びながら追いかける北斗を思い出し、

目の前にいるコイツはどうしてこうも平然に生きているのかと疑問に思う

「誰と暮らしてるのかと思えば、孤児の集まりじゃない。どうせあの外人もいるんでしょ？」

孤児、

捨てられた子、

その名は俺らを表す言葉として一生使われてしまうのだろうか

その名で俺らの価値は決められてしまうのだろうか