混ぜたら何色？【完結】 (ページ7)

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「長かったな」

「そう？短かったよ」

「10…何年だ？もう」

「ほっくんまた遊んでくれるよね？」

「じぇしぃ、だっこ」

「じゅりくん、これあげる！」

園最後の日

10数年過ごしたこの園とも今日でお別れだ

「ここに、俺は捨てられてて」

「俺はこっち！」

北斗とジェシーは園の玄関で写真を撮っている

そんな陽気に捨てられた場所に立たんでも…

なんてのは胸にしまっておこう

「その制服姿を見るのも今日で最後だったのね」

「ごめんね、卒業式呼べなくて」

園長先生は俺らの親だから

本当は呼んであげたかったけど、孤児院に良い顔をしない担任からまさかのノーが出た

「この桜の木も、この植木も、この壁も、この畑も、ぜーんぶに思い出がある」

両手を広げ空気を吸い込む北斗

「ここが俺の家、それで」

くるん、と音が出そうなくらいにターンして振り返った

「みんなが、俺の家族」

ううっ、と感動した園長先生が泣く声が聞こえる

「わたしも？わたしもかぞく？」「ぼくは？」

また北斗に群がる子供たち

もちろんだよ、と微笑む北斗はやっぱり可愛い

「ほくとぉー！！」

黙っていたと思えば、目に涙を溜め北斗に駆け寄るジェシー

今回ばかりは俺も駆け寄っておく

「苦しいよ、もう」

そんなこと言う北斗も嬉しそう

これからは俺ら三人の生活

狭いアパートに三人で身体を寄せ合って眠るんだろう

まあ、そんな毎日も悪くないか