you know I love u? (ページ3)

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「ルイス・ジェシーです。ジェシーって呼んでください！」

そう言ったのは長身でイケメンのハーフ

色めき立つ教室内にそぐわない後ろの席のこいつ

しかしジェシーが指定された席は、こいつの隣だった

「え、隣って松村くん？私声聞いたことないんだけど」

「俺も…。学年一位だから勉強は出来るだろうけど…あいつってさぁ、」

ヒソヒソとクラス中からこいつへの非難が聞こえる

3年間クラス替えのないこの学校で、2年目の今ですらこいつの声を聞いたことがあるのは俺だけだ

こいつは学校では一切口を開かない

教師に当てられようとも、怒られようとも

そして、俺が相手であっても

「こんにちは！俺ジェシー！よろしく！」

そんなことは何も知らない転校生は果敢に北斗に話しかけた

「………」

もちろん無視

学校にいる北斗は感情をどこかに置いてきたように静かで、まるで置物だ

「へっ！？おーい、まあ話したくないこともあるか。
今はいいや」

北斗の様子に多少驚いたものの、めげるほどヤワじゃないらしい
　

転校生を完全に無視した北斗へ浴びせられるクラス中からの避難の眼差しはなかなかなものだけど

人前にいる時の北斗は感情を何処かへ置いてきているから気にも留めず読書を進めた

「君は？君の名前は？」

「俺は田中樹。一応委員長。よろしくな」

そして俺はいつもの外向きスマイル

これで大体の奴は俺を“いい人”認定する

　

人間なんて簡単だ

人間関係なんてもっと簡単だ

「田中くんはさ、」

「樹でいいけど」

「じゃあ、樹はさ目が全然笑ってないね。てか2人おんなじ目してるジャン」

そう言って転校生は俺と北斗を交互に指さした

俺が笑ったときに相手に与える印象は優しいとか明るいとかそんなもんだけだったはず

初めて言われた言葉に面食らって次の言葉が直ぐに出てこない

「…っは、そんなことねえよ」

「それ！その笑顔！なんか貼り付けたみたいだね？」

やけに核心ばかりついてくるこいつは何なんだ？

貼り付けた顔だろうと別に何でもいいだろ、

この顔を見せておけば皆勝手に味方になる

優しいとか明るいとかイケメンだとかそんなレッテル貼ってくるだろ

今までの常識が通じない転校生に背中が冷えるのを感じる

「…っぷ、もう限界、」

そう背後から聞こえたのと

それが北斗の笑い声であるのを認識するのには時間はかからなかった