Sleeping Baby (ページ9)

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黒side

こーちは下準備のためにいつも早く店に行く。

だから俺はゆっくり片付けをして店を出る。

今日は歩きで行こうか。それともバス？

こんな時間が俺の至福の時間だったりする。

「あ、まってそこのバスー！！！」

俺の最寄りは始発点。まだ乗客は俺一人だ。

出発寸前に聞こえたその声に、運転手はバスを止めた。

どこかで聞き覚えのあるような、

そんな胸のつっかえを不思議に思いながらも、気にせず読書をする。

「すいません！ありがとうございます！」

どうやら元気な青年らしい。

運転手は彼に軽く返しながらバスを出発させる。

「あの、ここいいですか？」

突然の声に顔を上げると、それは今朝見たお隣の彼だった。

「お隣さんですよね？えっと、たしか北斗さん！ちゃんと挨拶できてなくてすいません、俺ジェシーです！」

笑顔で握手を求めてくる彼は、いかにも人から好かれますオーラを放っていて。

あぁ、だめだ苦手なタイプ。顔はいいけど。

俺の脳内で警告音が鳴り響く。

　

「…どうも。空いてる席たくさんあるので他のところへどうぞ」

こういう人に裏切られた時のショックが大きいことを俺は知っているから。

彼から離れるように、彼を遠ざけるように。

断じて、今朝の夢が関係しているわけではない。

断じて。