Sleeping Baby (ページ43)

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緑side

家に帰ってから、ジェシーが変だ。

「ぐふっ、」

時折変な笑い声を上げるし、

「好きだぁー！！！」

突然大声で告白したかと思えば、

「でも大我が…いやあれは好きなのか…？」

何かをブツブツと呟く。

あの事件の後、俺は樹を家まで送ってって。

ほっそい樹の身体がさらに小さくなったみたいで、少し怖かったけど。

でも樹を迎える家族が優しい顔をしていたから、安心して預けて帰ってきた。

樹の家の方がよっぽど遠いのに、なぜかジェシーは俺よりも後に帰ってきた。

「ねぇジェシー、何で俺より帰り遅かったの」

「…え？なんか言った？」

「だーかーらー！何で俺より帰り遅かったの！」

あぁ、それね…

そう言いながらまたニヤつくジェシーは本当きもい。

兄だということを抜きにしてもきもい。

「“北斗”がせっかくだから一緒にお茶でも飲もうって言ってくれて」

「へぇ、北斗さん家寄ってたのか」

「“北斗”がどうしてもって言うから～」

「…ねえ、さっきからその北斗を強調して話すのやめてくんない！？」

店にいたときは普通に北斗さんと呼んでたはずなのに。

気付いたら“北斗”と呼ぶジェシーに違和感しかない、

けど合点がいく。

「ジェシーの機嫌がいいのはそういうことか」

「なんのこと？」

「北斗さんのこと、北斗って呼ぶことにしたんでしょ？まさか敬語も無しになった？」

ってジェシー地味に固いからそんなことないか。

「うふふふふふ！！実はそのまさかなんでーす！！！」

嬉しそうに近くにあったクッションを持って踊り始めたジェシーは、

きもいのに少し可愛かった。

よし、送信。

北斗、北斗と言いながら暴れ回るジェシーをカメラに収めて、そのままトークルームへ。

『呼び捨てできるのが嬉しいみたい。

あの縫いぐるみを北斗さんだと思って使ってるみたいだよ』

『…あんなに回されたら酔いそう』

そんな感想しか来なかったのは、ジェシーには内緒。