Sleeping Baby (ページ42)

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赤side

もし、止められていなかったら。

背中に乗った愛しい重みを感じて、その体温を感じて、怖くなった。

偶然、運良く助かったけど。

もし…もし、

父さんや母さんのように、北斗さんを失っていたら。

想像しただけでガクガクと身体を震わせる俺は弱虫だ。

「…んっ、あ、れ…？」

「北斗さん起きました？あとちょっとで着くんで待ってくださいね！」

「いやいやいや降ろして重いから！」

「重くないですよ、」

バタバタと背中で暴れる北斗さんだけど、そう簡単に降ろしたりしない。

折角体温を感じていられるのに、こんないいポジション簡単に手放したくないし。

「…ごめんなさい」

散々暴れて観念したのか、大人しく俺の首に手を回した北斗さん。

北斗さんの声が右耳から流れてきて、くすぐったくて顔が熱くなるのを感じる。

「なんで謝るんですか」

「背負わせちゃってるし…心配かけたかなって、」

「…心配はしましたけど。でも北斗さんを背負ってるのは俺がしたいからしてるだけだし」

そう言うと、微かに息を呑む音が聞こえた。

「…でも、」

「あーもう！分かりました！じゃあお詫びしてください！」

勢い任せで言った言葉。

ただ北斗さんにこれ以上謝罪させたくなかっただけ。

「お詫び…？何したらいい？」

「何…うーん、あ」

お詫び、という言葉を聞いてピクリと震えた北斗さん。

俺が北斗さんに酷いことさせるわけないのにね。

「1、俺と呼び捨てで呼び合うこと。2、敬語で話さないこと。これがお詫びです！」

高らかに宣言すれば、耳元で吹き出した声が聞こえる。

「そんなこと？」

「…だめ、ですか？」

そんなわけないよ、そう呟いたかと思えば

「これからもよろしくね、ジェシー」

そう囁いた。