Sleeping Baby (ページ38)

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赤side

「聞こえたんだ。警察の人と大我の会話」

「…どれのことだろう？」

振り向かないままの大我の肩を掴む。

「事件が起きる前に既に警察が待機していたって…！」

大我と警察官が再び店内に戻ってきた時うっすらと聞こえた会話。

“いや～まさか本当に事件が起きるなんて思ってませんでしたよ。京本さんに待機してろって言われたから一応してましたけど。”

“助かったよ、ありがとう。”

“でも怪しいとこなんて一つもなかったのによく分かりましたね、何か起こるって。”

「どうして今日ここで事件が起きるって知ってた？どうして俺をここに連れてきた？」

わざわざ今日俺を迎えにきてこの店へ連れて来る。

それがきっと大我の狙い。

事件が起きることも分かってたなんて、そんなことあるはずない。

そう思うのに、頭を掠めるのは、

北斗さんが事故に遭う夢を見たこの前の自分の姿だった。

「…信じてもらえないと思うけど。それでもいい？」

意を決したように振り向く大我の目には迷いなんて一つも見えない。

ただ澄んだ黒い瞳がそこにはあった。

「…夢で見たんだ。今日ここで彼が…北斗が首を絞められて殺される夢を」

夢。

…彼もまた、夢。

ぐっすりと眠る北斗さんを見る。

まさかとは思った答えが正解だったなんて。

あなたを苦しめてきたであろう夢は、

あなたの命を救ったみたいです。