Sleeping Baby (ページ27)

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赤side

よかった。

それが第一の感想。

北斗さんが無事でよかった。

彼が傷付かなくてよかった。

どうしてこんなにも彼に執着しているのか、答えなんて今はわからないけど。

繋いだ手の温かさを感じられるだけで安心できる。

「お世話になりました」

「どうでした？」

「うん、擦り傷だけ。脳に異常はないし、このまま帰って大丈夫って」

診察室から出てきた北斗さんの顔は晴れやかで。

あぁ、やっぱり不安だったんだなって。

「高地さんには連絡しておきました。すごい心配してたけど、」

「こーちは心配性なの。俺からも連絡しておかなきゃ」

そこからまた無言の時間。

なにか話したいな、という気持ちと

話さなくても楽しいな、という気持ち。

俺は鈍感じゃないからこの気持ちの名前知ってるんだけど、まあうん。

今はまだ蓋をしておいていいかな。

「あの…未来はどんなふうに？」

家までまたタクシーに乗る。

伏目がちな姿を見ると、この質問に勇気を出してくれてることを知る。

「夢で見たんです。事故が起こって、さっきの金髪の子が轢かれて、北斗さんも…その、怪我してて。

正直信じられなかったんです。でももしあったら怖いなと思って」

「俺も…俺も、夢を見る。この前ジェシーさんに仕事帰りにうちの店に寄ってって言った時ありましたよね？あの時も夢で見て」

「それはどんな？」

「ジェシーさんが怪我する夢。今までは伝えても信じてくれる人なんていなかったんだけどね、」

ジェシーさんは信じてくれた

そう言って微笑む北斗さんが可愛くて。

この話をしながら一度も目は合わなかったけど、

少し赤くなった耳が全てを語ってる気がする。

あーだめだ。

気づいてないふりしきれないかも。

タクシーが止まり扉が開く。

「北斗！」

家の玄関前で待っていたらしい高地さんが駆け寄ってくる。

こんな雪の日なのに外で待つなんて。

「大丈夫なの？怪我は？痛いとこない？」

「こーちこそ顔真っ赤だよ…冷たっ！寒かったでしょ心配かけてごめんね」

二人がハグし合う姿を見て安心する。

本当によかった。

「ジェシー、よかったね」

いつの間にか隣にいた慎太郎も北斗さんを見ながら優しく微笑む。

北斗さんには高地さんがいるように、

俺には慎太郎がいる。

身近に信じてくれる人がいるだけで幸せだ。