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赤side



「おはようございます!今日も早いですね!」


朝バス停で挨拶をすれば、


「おはようございます」


と静かに返してくれる。



それくらいの関係に、俺と北斗さんはなった。



いまだに警戒されているのか(なぜ?)

挨拶以外はしてもらえないけど。



でも俺にとっては大きな一歩だ。



全然返事してくれないし、

怒ったような困ったような顔ばかりするし、

笑顔なんて一度しか見てない。



それくらいの関係、なのに俺は彼に構い続けている。



これがどういう感情なのか、まだ分からないけど。


もし名前をつけるなら、興味だ。





「いやぁ〜今日はいい天気ですね!こんなにいい天気だと散歩に行きたくなりますね!」



狭いバスの中、俺と北斗さんと運転手。


たった3人だけの空間だって、あと5分ほど。




俺は北斗さんと話がしたかった。


ううん、話じゃなくてもいい。返事でもいい。




声が聞きたいだけ。





「今日はきっと…雪が降ります」




そう断言する北斗さんの顔は、あの日俺をコンビニから遠ざけたときと同じもの。



1週間前の予報では雪の予想だったが、快晴だと今朝のニュースでは伝えていたはずなのに。




「北斗さんは、その…占い師ですか?」


「へ?」


「いやだって未来のこととか天気とか当たるから、占い師とかなのかなって、」


「…もし、もしそうだとしたら、気味悪いですか?」



それはどこか縋るような目。


俺は否定の意を込めて首を横に振りまくった。

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作者名:ぷりむら | 作成日時:2020年9月2日 20時

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