君は俺を見ていない。【urt】【srr】

8.プライバシー ページ9

Aside


うらたさんとの約束の日。彼の家の前までもうすぐというところで電話が鳴った

[ピルルルル♪]

『あーはい、うらたさんどうしたの?もう家着くけど』

う「わりぃ!さっき急用入っちゃってさ……」

『そうなの?じゃあ今日は無しか』

う「いやあと10分くらいで終わるから先家入ってて」

待て待て、まさか家の鍵を開けてきたというバカなことをしてきたのか?

もし鍵かかってたとしても、合鍵なんてないし、そもそもそういう関係じゃないしぃ!

う「お前絶対変なこと考えてるだろ。合鍵がポストに入ってるからそれ使え」

『あ、はーい』


『お、おじゃましまーす……』

誰もいないとわかってるけども一応声をかけてみる

いつも通り整頓されたリビング。絶対使ってないであろうキッチン

1人で先にやってようかと思ったがそれではつまらん。1人だからこそできること……

『寝室……』

一度だけ行ったことがあるうらたさんの寝てる部屋。シンプルなベッドと、本棚とおそらく仕事で使ってる資料。

本棚には、漫画と、小説と、CDなんかが入ってる。も、もしかして……

本を引っ張り出し、すぐに戻せるようにきちんと床に積む

下のCDやDVDも同じことをして本棚を空にしてみるが……

『まじか、』

じゃあベッドの下?本棚の隙間?まさか枕の下ってことも……

う「Aー?どこ行ってんのー」

まずい、帰ってきやがった。急いで出したものを本棚に戻していく

[ガチャッ]

部屋のドアが開いた。入ってきたうらたさんと目が合う

う「ここ居たの?ってお前……」

『あ、怪しいことは何もしてませんよ?』

う「嘘つけ。それちゃんと戻しとけよ?あと俺の家にそんなものはない」

『うっそだー!あなたにだってそういう欲くらいあるでしょ!?』

う「ないこともないけどさ……生々しいからやめようぜ、この話」

『嫌だ』

う「なんでだよ。そもそも持ってたらどうすんだよ」

『どんな趣味してるか読む』

う「お前デリカシーって知ってる?」

『何も言わなくても考えわかるってやつ?』

う「それテレパシー」

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