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「やっぱりいた…!」









訓練場から道場まで走ってきたため若干息を上げながら、Aは古びた道場に足を踏み入れた。

そこに一人ぽつねんと棒立ちしているのは、先ほど訓練場で姿が見えなかった尾形百之助。
誰もいない広い道場に無表情のまま佇んでいるその姿は異様でしかない。









「こんな所で何してるんですか、尾形上等兵!もう午後の演習が始まってしまいますよ!」



「今日の午後の演習は道場で組み合いだって」









尾形はAに気が付いても大して驚いた様子はなく、いつものように小さくボソリと呟いた。









「誰情報ですか!」



「宇佐美」



「嘘に決まってるでしょう!あなた、前にあの人に騙されて月島軍曹の糧食に手をつけて殴られたの忘れたんですか?」









Aの言葉に眉を顰めているところを見るに、どうやら尾形も宇佐美の嘘情報に踊らされたことに気が付いたみたいだった。
遅すぎるが。

途端に少し不貞腐れたような表情になった上官を、Aはやれやれとため息をつきながら腕を引っ張って道場を出る。









「今日の訓練は敷島軍曹の銃剣術です」



「…敷島?」









尾形の顔がますます歪んだ。

意外と感情が表情に出やすいのが面白い。

しかしそんな悠長なことを言っている暇はない。
尾形も知っての通り、どんな些細なことだったとしても軍規に違反した者にはとてつもない体罰を下すで有名な軍曹だ。









「だから急ぎましょう」



「もう無理だろ」



「諦めちゃダメです!」









完全に萎えている尾形の腕を取ったまま、Aは全速力で走った。
もちろんリーチに余裕のある尾形は面倒そうにしながらもそれにしっかり着いてきてくれたため、なんとか戻ってきた時にはまだ軍曹の演説の最中であった。

どれだけ長い間喋ってるんだよ、とツッコミを入れたい気分だったが、今回に限ってはありがたい。

「ほら、諦めないでよかったでしょう」と尾形を振り向こうとしたその時である。









「あの〜、お話の途中で申し訳ないのですが」



「どうした宇佐美上等兵 俺の訓示を遮るとは、相応の用件なんだろうな?」









件の発端、宇佐美時重が手を上げて壇上の軍曹に向かって声を発したのだ。

こちらをチラリと見る宇佐美の瞳は爛々と輝いていた。

.→←その感情の正体



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設定タグ:ゴールデンカムイ , 金カム , 尾形百之助   
作品ジャンル:恋愛
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久遠(プロフ) - 宇佐美の狂ってる感じが最高でした!ありがとうございます😊 (4月7日 21時) (レス) @page43 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - 鯉登の現代ver.と明治ver.両方見てみたいです!よろしくお願いします! (4月7日 10時) (レス) id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - リクエストなんですが、宇佐美との話欲しいです🙇🏻‍♀️現代でも明治でも良いです! (3月24日 22時) (レス) @page37 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - めちゃくちゃいい話で感動しました〜😭ありがとうございます! (3月18日 0時) (レス) @page31 id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐プリン(プロフ) - やばい!鶴見中尉との関係めっちゃ好きすぎて叫びそうです!笑 リクエストなんですがもし夢主だけ生存して鯉登オチだったらっていうと軍に入っていない少し幼い夢主と鶴見との絡みが見てみたいと思ったのですが出来ますでしょうか??お願いします! (3月13日 23時) (レス) id: b06481f634 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽなふ | 作成日時:2024年2月25日 23時

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