新しいノートって綺麗に使いたくなるよね ページ22
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『沖田隊長?そっちはルート外じゃ…』
「警察ってのはな、視野を広く持つことが大事なんだ 誰かに定められたルートだけを巡回してちゃ街の平和は守れねーぜ …おばちゃーん!醤油団子2本!」
そう言ってるそばから沖田は甘味処の暖簾をくぐり、慣れたように店主に声をかける。
人生初の見回りの仕事は、沖田とペアを組まされることとなった。
事前になんとなく教えられた巡回ルートにこの甘味処はなかったはずだが、ここで逆らっても仕方がない。
「ほら口開けな」
『んぐッ』
Aが口を開けるよりも早く団子の串を一本突っ込むと、沖田は自分もパクリと団子を頬張る。
『…うまッ』
「そーだろィ?これでお前も共犯な」
ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべながら、沖田は縁台に腰掛けた。
Aもそれに倣い、隣に座る。
雲は緩やかに流れ、今日は見事な冬晴れだ。
『沖田隊長はいつもこうやってサボりを?』
「サボりたぁ人聞きが悪ィ、新人教育って言え」
『二人してサボってるだけじゃないですか…』
ぶつくさ言いながらも団子の美味しさには逆らえず、結局最後まで完食してしまう。
気づくと沖田はとっくに食べ終わっており、Aが終わるのを待っていたように立ち上がった。
「安心しなァ、今日はちゃんと仕事を用意してらァ」
「お前の初舞台だぜ」と笑った沖田のその悪い顔に、背筋がゾクッと震えた。
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作者名:ぽなふ | 作成日時:2022年12月31日 13時