氷上のプリンスと目覚めぬ歌姫 (ページ30)

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30話（Y.side）ページ30

俺が曲を流し始めると、彼女の顔は先程とうってかわって、絶望したような、はたまた全てを諦めたような顔をしていた

流石の俺も息を飲んだ

…これだけ、雰囲気ってガラッと変わるもんなんだな…

「…I dreamed a dream in times gone by＿＿.」

少しかすれたような声で歌い始める

だが、しっかりと気持ちが籠っていて、音程も綺麗だ

「…やっぱりすげぇ。」

彼女は歌いながら、少し滑ったり、震えながら手を伸ばしたり

今すぐそこに行って、手を握ってやりたくなるほどの演技力だ

「And still I dream he'll come to me＿＿.」

突然、彼女は天を仰ぎ、希望の満ち溢れた顔になる

だがまた、直ぐに下を向き諦めたような表情に戻る

「…何者なんだろう、あの子。」

俺は、確かに魅了されていた

それはみんなも同じようで、誰一人話そうともせず、彼女の演技を黙って見ていた

「Now …life＿＿. has killed the dream」

やがて、彼女はリンクに膝をつき、彼女の瞳には涙が溜まっていく

自分に呆れて薄ら笑いをしているような顔

それなのに、瞳に光はない

「… I＿dreamed＿＿＿.」

「…はは。」

彼女の演技を見た俺は、乾いた笑いをこぼすことしかできなかった