氷上のプリンスと目覚めぬ歌姫 (ページ28)

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28話ページ28

「お、お待たせしました…。」

そう言って衣装を着た私がリンクサイドへと行くと、みんなの方から、おおっ…。というざわつきが聞こえる

「Aちゃん、すごい綺麗だよ。」

そう最初に言ってくれたのは真央ちゃん

「あっ、ありがとう。」

そんな真央ちゃんに続くように、ノブくん、高橋選手、安藤選手と続々と褒めてくれる

そして、羽生くんが天使のような顔をしながらこちらを見ていた

…ん？あそこにいるのは

「宇野選手！？」

私がそう言うと、少し離れたところにいた宇野選手が、「あ、はい。」とか細い返事をしてくれた

「…なんかこれだけ有名な方々に見られながら歌うのって…今更ながらに緊張してきた…。」

私がそう言うと、羽生くんが私の手を引っ張った

そして、リンクに近づくと

「エッジカバー、外して。」

そう言って羽生くんは自分のエッジカバーを外し始めた

私が慌ててエッジカバーを外し、リンクへ上がると、ヒヤッとした冷気が私の頬を過ぎた

これだ。この感覚

「ほら、こっち。」

羽生くんが私の腕を引き、少しづつ、氷の感覚を掴む

「…ここ、滑りやすい。」

ぽつ。と私が漏らすと、でしょ？と言って自慢げにみんながいる方向を見た

「…ほんと、俺って恵まれてる。」

そう言いながら、羽生くんが遠くのみんなに合図をすると、みんながリンクサイドに散らばった