氷上のプリンスと目覚めぬ歌姫 (ページ14)

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14話ページ14

「あの人は"そんなことしてない"で突き通せばいけるかもしれないけど、Aはそうじゃないでしょ。あの人の頭おかしいファンに刺されるかもしれないし。」

…確かに。でも

「…んー、でも刺されるのは仕方ないよ。」

七奈は「は？」と言いたそうな顔で私を見る

「その人だって、生で羽生選手の演技とか練習見たくて色んな会場抽選でお金払ってやっと行ってるのに、私なんか無料でだよ？」

私がファンだったら、刺しはしないがやはり不服だろう

「…本当Aって変なとこ肝座ってる。」

「うん、よく言われる。」

私が笑いながらそう言うと、じゃあ普段の羽生選手ってどんな感じなの？練習はどんな感じ？と、七奈の質問攻めが始まった

私は、答えても羽生選手に影響がないくらいの事をつらつらと述べるのだった

そして、最後の質問のことだった

「Aは羽生選手が好きなの？」

私は目線を軽く下に落としながら答えた

「…今は尊敬だけど。…絶対好きになっちゃうよ。」

私チョロいからなぁ。と笑いながら言おうとした

「じゃあ好きになったら告白するの？」

「…一方的な思いを伝えて消えると思う。」

「なにそれ、ずるい。」

…分かってる。でも傷つきたくないから

振られるの分かってるから

「てか、もう15時くらいだけど。家帰って今日の準備しなくていいの？」

そう七奈に言われ、ハッと時計を確認すると15時10分頃

話すぎた、そう思いながら支払いのために席から立つ

「気をつけて。あと楽しんで？」

七奈が鼻で笑って私にそう言う

「うん。ありがとう。また今度。」

そう言って七奈と別れた