氷上のプリンスと目覚めぬ歌姫 (ページ2)

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2話ページ2

翌日の事だった。

その日は珍しく気が向いて、お昼頃にスケート場へ向かった

しかし

「…なに、あの人の量…。」

確かに、佐藤さんのスケート場はいつも混んでいる

だが、その日は入口が人で埋め尽くされていた

「…気分、せっかく向いたのに。」

そう思いながら、佐藤さんに挨拶をした

「あ〜、Aちゃん…その…今日はね…。」

誰かお偉いさんでも来てるのだろうか

なら尚更ここに居てはその方の迷惑になるだろう

「…その入口にいる人達が退いてくれなくてね。ご迷惑になりますので、なんて言っても全部無視で…。」

あー、そういうことか

「佐藤さん、私に任せて」

「えっ、Aちゃん！？」

そんな佐藤さんの声は無視して、入口で屯して中の人物の写真を撮ろうとしている人達に声をかけた

「すみませんが、ここは屯する場所ではありません。お帰りください。」

「…。」

はー、シカト決め込んでる

分かった、そう言うことなら

私はポケットに入れていたスマホを、屯していた人たちの前にかざして、動画を撮り始めた

「…は？何勝手に撮ってるんですか？」

「…。」

私は無視をしながら動画を撮り終わり、小声で拡散希望。と言いつつツイートをしようとした

「ちょっと！？人の顔を無断でネットにあげるなんて！！犯罪ですよ！！」

「あんたたちもね。」

間髪入れず私が答える

「多分中にいるのお偉いさんだろうけどさ、あんたたちファン？」

「そうだけど？」

恥ずかしげもなくそう語る相手に苛立ちを覚えつつ、冷静に言葉を発した

「へー、そう。ファンならなんでその人の集中力切れるような行動とってんの？」

「は、はあ！？それと貴方がさっき撮ってたのは話が別じゃ…」

「じゃああんた他人に無言で写真数え切れないほど撮られたらどうすんの。嬉しい？」

「いや、は？嬉しい訳なくない！？」

「じゃあ同じだろ。ほんとに中の人のファンなら今は家に帰れば？好きな人の集中力切らすような行動しないでさ。」

私がそう嘲笑うかのように言うと、みんなクダを巻きながら帰って行った

「Aちゃん…！ほんとにありがとう！」

そう言って佐藤さんにぎゅーっと抱きしめられたが、力が思ったより強く苦しかった

「いっ！いいよいいよ！と、というか、今日も夜来ていい？」

私が佐藤さんから体を離しながらそう聞くと、もちろんだよ！と言ってその場は丸く収まった