295. ページ49
グッと拳に力を入れるサボを見て、Aは眉尻を下げる。
エースの死を目の前で見た自分達の心は、深く抉られて、もう二度とその窪みが戻らないことを思い知った。
サボは自分とは状況が違えど、エースが死んだことをきっかけに全てを思い出したのだから、絶望は計り知れない。
｢そして、ドラゴンさんとお前の父親と話をして、革命軍全軍に頼み込んで“メラメラの実”を求めてここまで来たってわけだ。
あ、勿論、俺が食べてエースの意志を引き継いだぞ!ほら!｣
サボはそう言って、人差し指からボワッと小さな炎を出した。
Aはそれをじっと見つめた後、サボの手を突然ギュッと握った。
ｻﾎﾞ｢ど、どうした!?｣
｢ねぇ、サボ。さっき、私のせいでエースが死んだなんて思うなって、言ってくれたでしょ。
それは、サボも同じだよ。｣
サボは、Aの言葉に驚き、目を見開く。
Aは、サボの瞳を真っ直ぐ見据え、言葉を続ける。
｢あの場にいなかったことを、何度も後悔したんだと思う。私と同じで、眠れない夜を何日も過ごしたと思う。
……私達が負った傷はとても深いけど、同時にエースが生きた証でもあるってレイリーさんが言ってたんだ。だから、私達はこれを抱えて前を向くことが大事なんだと思う。
この傷は無理に治さなくていいんだよ。きっと、エースにしか治せないから。｣
ｻﾎﾞ｢……生きた証、か……確かに、アイツにしか治せそうにないな。｣
｢うん。だから……次に会った時に治してもらおう。｣
ｻﾎﾞ｢!!!｣
｢約束したから。大丈夫、必ず会えるよ。｣
ｻﾎﾞ｢……そう……か……そう、だよな……必ず、また……会える……｣
Aの言葉を反芻するように呟き、俯いたサボの手を、Aはもう一度しっかり握る。
サボが俯いた先の地面が濡れていることも、肩が震えていることも、Aは全て分かっていたが何も言わなかった。
サボとAを繋ぐ手が、言葉の代わりに2人を支えているようだった。
〜〜〜
ﾛﾋﾞﾝ｢お帰りなさい。｣
｢ただいま、ロビン。……なんというか、その、お騒がせしました。｣
ﾛﾋﾞﾝ｢いいのよ、気にしないで。……ちゃんと話し合えたようで安心したわ。｣
私とサボの赤くなった目元を交互に見たロビンにそう言われ、少し気恥しさを感じ、笑って誤魔化した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 478人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はち.(プロフ) - コメント失礼します。とても面白かったです！いつも更新していただく度に読ませていただいております。またお時間がある時、更新していただけたら嬉しいです！応援しています！ (2021年2月27日 21時) (
レス) id: 37902fbb7c (このIDを非表示/違反報告)
菜の花からし和え - 一気にみました！更新頑張ってください！ (2020年12月16日 20時) (レス) id: 1828f2aa7c (このIDを非表示/違反報告)
みいら(プロフ) - とっっても面白いです！更新頑張って下さい！！ (2020年10月19日 13時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツナ缶。 | 作成日時：2020年10月7日 23時
