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適当に座って、と声をかける前から柊は当たり前のようにソファに腰掛ける。
柊が僕の家に来たのは初めてじゃない。
いつだったか、僕が風邪を拗らせたのを聞いた柊がわざわざ看病しに来てから、それ以来ちょいちょい遊びに来るようになった。
僕の家に何か面白いものがあるかといえば何も無いけど、
柊は「河村さんと喋るのが楽しいから」と嬉しいことを言ってくれる。
オフィスに居る時も、僕がソファに座ってたら柊は隣に座るし、逆に柊が居るところに僕が近づく。
この摩訶不思議な距離感は、ふくらから「また寄ってる〜」なんて言われるぐらいで、みんな気にしてないし僕らも気にしていない。
言ってしまえばほぼ無意識。
こんな具合でそれなりに仲はいいけど、恋愛感情は恐らく無い。
恐らく、というのは、“一緒にいて楽”だとか“傍にいて当たり前”といった感情を、恋愛感情と捉えていいのかが微妙だからそう表現しているのだ。
向こうがどう思ってるかは知らない。
どちらかと言えば友情の部類ではなかろうか、と主観的に決めつけている。
「麦茶しかない」
『なんでもいいですよ』
あんまり冷えてない麦茶を出すと、ちびちびと口をつけた。
僕も麦茶をコップに注いで、重い身体をソファに沈める。
眺めていたスマホをスリープさせた柊が、ちらりとこちらを見てテーブルの上の紙袋を指さす。
『これ、伊沢さんから。』
「やっぱり伊沢の差し金だったか」
『私の意思でもあります。』
嫌味っぽく言ったら、語気を強めて返された。
見ていい？と聞くと「ん」と一言だけ返ってきたので紙袋に手を伸ばす。
「お菓子じゃん」
『詰め合わせですよ』
ドヤ顔で言うことじゃないでしょうに。
思わず笑うと、柊もふふっと笑う。
なんだかその笑顔が擽ったくて、目を逸らした。
今の僕にはあまりにも眩しい。
キザだと思われそうな表現だが決してそうではなくて、ただ単に人の笑顔が…とりわけ柊の笑顔が妙に瞼の裏に残るのだ。
それくらい僕の心は弱ってる。
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あんころ - こんにちは、すごく文の雰囲気が素敵で、引き込まれました…！！ヒイラギさんのペースで更新されるのを楽しみに待っています (2020年4月3日 0時) (
レス) id: 4b7a069960 (このIDを非表示/違反報告)
ヒイラギ(プロフ) - 燕さん» ありがとうございます！ゆっくりの更新になりますが頑張ります^^* (2020年3月10日 16時) (レス) id: 8efd38389c (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - この作品、とても好きです。更新楽しみにしてます。 (2020年2月3日 2時) (レス) id: 9037981a2e (このIDを非表示/違反報告)
ヒイラギ(プロフ) - うずきさん» ありがとうございます！嬉しいです^^* (2020年1月24日 21時) (レス) id: 4b5b27727e (このIDを非表示/違反報告)
うずき(プロフ) - 世界観が大好きです！最高すぎます！ (2020年1月24日 1時) (レス) id: c78208ae40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒイラギ x他1人 | 作成日時：2019年9月22日 16時
