TWINS･TWINS

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「ねぇ、A、ちょっと」

『んえ？』






家でスルメを噛みながらテレビを眺めていた時、風呂上がりの航平がなにやら神妙な面持ちでやってきた。


なんだなんだ、真面目な話だろうか…？


スルメ食べてる場合じゃないかも、と思ってソファの上で居住まいを正す。








『なんでしょうか…』

「ほら、周知の通り俺リズムゲーム激よわじゃん？」

『あー、河村さんにもくそ雑魚って言われてたね。おままだしポパイだし』

「ｳｯ……まぁ、弱いのは事実だから、ちょっと練習したいなって…思いまして、」









ははーん、とどのつまり私に練習相手になって欲しいんだな？

そう聞くと、嬉しそうに頷く航平。



あの伝説のポパイ回、加えておまま回で航平に“リズムゲーム下手”というレッテルを貼られてしまったからなぁ。


確かに、ちょっとぐらいかっこいいとこ見せたいよね…














『だが断る』


「は？！なんで！血を分けた姉弟じゃん！ちょっとだけでいいからさ！」

『血を分けてるから私もリズムゲームくそ雑魚ってことに気づけ！』






ちなみに、この前大学の友人(視聴者)と面白そうだという理由でマジカルきのこをプレイしてみたら、五連続で私の負けだった。


なんなら「QKと言わずにい☆ざ☆わ」なんて言ってしまったレベルなんだよ私は！



その事を教えると、「は？！俺よりやばいよ！」と言われてしまったけど、
どんぐりの背比べだぞ、航平！








『だからね、航平さん。くそ雑魚とくそ雑魚が練習してもね…』

「いやいやいや！三人寄れば文殊の知恵みたいな、言うじゃん？」

『2人だし、生産性低いんだよ！』








しゅんと項垂れた航平は「ｽﾝｯ…ｽﾝｯ」と泣く真似まで始めて、思わずｳｯと息が詰まる。








『…1回だけね』

「よっしゃ！」








パンっ、と手を叩いて喜ぶ航平。


誰だよそんな癖つけたやつ。
(私かもしれない)

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