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side ko-chan
「行ってきます」とAがオフィスを出ていってから、時計の長針が既に一周以上回っている。
コンビニなんてオフィスの目と鼻の先にあるんだから、せいぜい遅くて30分ぐらいで済むはずなのに。
遅い、遅すぎる。
事故にあったとか、悪い人に連れていかれたとか、最悪の事態ばかり考えてしまう。
本当はついて行きたかったけど、「納期が迫ってる記事が終わってないでしょ」と痛いところを突かれてしぶしぶオフィスでお留守番。
なんなら無理やりにでもついて行けばよかった…。
「さっきから落ち着きないけどどうしたん」
「A、遅くないですか」
「あー、確かに。」
川上さんがうーん、と時計を見上げて首を捻る。
「連絡は?」
「特になくて」
「こっちから送ってみたら?」
そうか、と昨日の夜ご飯の話で終わっているLINEのトークを開いて、「今どこ?」と送ってみる。
…が、既読がつく気配は全くない。
電話を掛けても応答無し。
ますます不安が募って、机に突っ伏した。
「どうしたんですかー?」
「山本、渡辺さん遅いなって。こうちゃんしょげてる」
「なるほど…」
ウイダーinゼリーをもぐもぐしながら、山本さんは俺の頭をぽんぽんと撫でて「すぐ帰ってくるから大丈夫だよ」って慰めてくれた。
めちゃくちゃいい先輩だ。
でもやっぱり…
「うわっ、」
「俺、探しに行ってきます」
がた、と立ち上がると山本さんがびくっと肩を揺らした。
「えっ、こうちゃん、記事は?」
「終わりました!」
せかせかとスマホを引っ掴んで玄関へと向かった。
何かがあってからじゃ遅いし、待ってられない!
「こうちゃん、ホントに記事終わってる…」
「すげ、」
_____
side you
季節限定のチョコが出たとかなんとかで、オフィスの近くのコンビニに向かうことにした。
出る時に航平も「一緒に行く」なんて言ったけど、記事が完成してないでしょ、とそのまま置いてきた。
わざわざ玄関まで着いてきて、扉を閉めるときの航平の顔…
思い出すだけで笑えてくる。
(ちょっと可哀想だったのでちゃんとお菓子は買ってやることにした)
お目当てのチョコと航平のためのアルフォート、それからいくつかお菓子を買ってコンビニを出る。
びゅうっと吹き付ける秋風に身震いをしながら帰ろうとした時、目の前から人が来て思わずぶつかりそうになった。
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しぃ(プロフ) - ヒイラギさん» 全然です!すてきでした!もうすっごい後になってもいいんで、他の東大王メンバーも出していただけると… (2019年11月13日 14時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
ヒイラギ(プロフ) - しぃさん» こちらこそリクエストありがとうございました!全然砂川さん感(?)を出せなくて申し訳ないです…;▽; (2019年11月12日 23時) (レス) id: 4b5b27727e (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - ヒイラギさん» もう最高でした!ありがとうございます! (2019年11月12日 20時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
ヒイラギ(プロフ) - おみそさん» お褒めの言葉ありがとうございます!嬉しいです!ぼちぼちの更新ですが今後もよろしくお願いします^^* (2019年11月4日 18時) (レス) id: 4b5b27727e (このIDを非表示/違反報告)
おみそ - 突然すみません!いつも楽しく読ませてもらってます。とっても面白くて、ほっこりして、いいお話しだなぁという気持ちが抑えられずコメントさせてもらいました!更新頑張ってください!!楽しみに待っています! (2019年11月4日 7時) (レス) id: 6ee4e40fac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒイラギ x他1人 | 作成日時:2019年9月7日 17時