TWINS･TWINS

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突然だが、私は今航平と入れ替わっている。


お前大丈夫か？と言われそうだが、事実、非科学的なことが起きてしまった。

経緯は以下の通り。







_____








「え！エレベーター使えないじゃん！」

『マジだ…』







オフィスに行ってみると、エレベーターが点検中で使えなくなっていた。


まあ仕方ない、と階段を使うことにして重い足を半ば引きずりながら一段一段上へ登る。


こういう時に限って荷物が重かったりする。

階段、こんなにきつかったっけ。




エレベーターがいかに便利で、常日頃我々がいかに楽をして生きているかをひしひしと痛感する。

日本初のエレベーターを設計した藤岡市助に圧倒的感謝。



航平なんか、疲れて足を止めちゃって。「A助けて〜」なんて情けない声を出すから、ぐいぐいと腕を引っ張ってやりながら足を進めた、その時。









「うわっ！」

『えっ』








航平の声が聞こえたと思えば、ぐんっと手がひかれて体がふわりと浮く感覚に次いでぐらりと傾く視界、そしてスローモーションで流れていく景色。




ああ、私今階段から落ちてる。





これがタキサイキア現象か…！

せめて捻挫で済みますようにと願って目を固く閉じた。







_____







…で、目を覚ますとこうだ。

私が航平で、航平が私。

どこぞの君○名は。みたい。





不思議なことに特に怪我もなく、今はオフィスにいて航平と私はこれ以上事を大きくしないようにお互いがお互いを演じている。






が、しかし、言動の端々にちょいちょいボロが出てしまって、
ふくらさんからは怪訝な目で見られ、伊沢さんからは「今日このツインズ面白ぇ〜！」なんて言われる始末。




乾いた笑いしか零せず、2人しておろおろしてしまう。このままだと変人扱いじゃない…！









「手止まってるよ、こうちゃん。わからないとこあるの？」

『河村さん』







河村さんがぽすんと隣に座って、パソコンを覗き込まれる。



えっ、なんか顔が近っ…航平あんた、いつもこの距離感なの！？
羨ましいなくそっ！くそっ！






ちらりと航平(姿は私)を見ると、何か聞いているのかかなり至近距離で山本さんと喋っている。




距離が近いんだよあんた！

メイクしてるとはいえ目のクマとかバレそうだから辞めて！


あと恥ずかしい！

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