TWINS･TWINS

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side izawa






オフィスでの作業中、見慣れないものがふいに目に飛び込んできた。


Aちゃんの右手の薬指に、キラリと光る指輪。
思わず声を上げそうになって慌てて口を手で覆う。







「？伊沢さんどうしたんですか」

「いや、なんでもない」








怪訝な顔をしたこうちゃんは「そうですか」と言ってパソコン画面に視線を戻した。



嘘だろ、いつから？



こうちゃんが右手の薬指に指輪をしているのは勿論知っていた。

Aちゃんが身につけるアクセサリーと言えばネックレスかイヤリングで、指輪はしていなかったはず。



左手じゃないけど、やっぱり“薬指”となるとそわそわしてしまう。






これは聞いてもいいのか…？いくら仲がいいとはいえ、人の…ましてや女性の色恋沙汰に踏み込むのは失礼じゃなかろうか？


みんなも指輪に気づいているのかいないのか、何も聞かないし。



これであの可愛い笑顔を見せながら「彼氏からです」なんて言われたら…。





やだやだ！なんかやだ！




ぶんぶんと頭を振って考えることを辞める。

今は仕事に集中……………集中。







でも、一回気になってしまうとずっと気になってしまうのが人間。


飲み物を飲む時とか、何かを考える時に顔の近くに手を持っていった時とか、俺が貸した広辞苑のページを捲る時とか…




もはや指輪どころか、一挙手一投足が気になって仕方ない。






作業時間がいつもの倍以上かかってしまって、ふくらさんから「全然進んでなくない！？」なんて言われる始末だ。

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