TWINS･TWINS

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『伊沢さんこっちに傾け過ぎです！革ジャン濡れますよ！』

「いやいや俺はいいから！Aちゃん冷えちゃう！」

『私は生まれてこのかた風邪ひいてないんで大丈夫です！』

「嘘だ！絶対嘘！」





傘を押し付け合いながらぎゃーぎゃー騒いでいるうちにオフィスが見えてきた。

2人での時間ももう少しか、なんて思うと少し惜しくなって、自然と歩みも遅くなる。



それに気付いてるのかは分からないけど、Aちゃんもゆっくり歩く。



雨も大分弱まってきた。






「寒くない？」

『誰かさんのおかげで濡れてないので』






あまり納得いってない顔をしてそう言ったと思えば、にぱっと笑って「ありがとうございます」とお礼を言われる。

いやいや、お礼を言うのはむしろこっちの方だ。








オフィスに着いて、急いでタオルを渡す。

気を使ったけど、やっぱりAちゃんの肩先は濡れていて、風邪をひかないかが心配だ。






「ありがとうね、Aちゃんが来なかったらびしょ濡れになってた」

『いえいえ！また傘忘れたらいつでも呼んでください。飛んでいくので』

「え、ホント？」

『もちろん！』






ふふ、と笑うAちゃんを見て、また甘えてもいいかな…なんて思う。


今日はついてないと思ってた。

でも最後はどんでん返し。






今日はついてる日だ。

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