6 ページ6
無
『悪かったで85点は無いでしょ』
僕のテストを見ながらそんなふうに言ってくる隣の女の人は僕の親戚。一番点数が悪かった英語の勉強を教えてもらうためにいま図書館にいる。
「不定詞動名詞のところで少し苦手だったの」
『苦手でこんないい点数取れる?』
「うるさい」
Aは学年の人からも他の学年の人からも人気だから僕と一緒にいるところを見せびらかすと変な虫よってこないから無理やり呼び出した。学年違うとか最悪、てか親戚とかもっとありえない。
『だから不定詞動名詞は暗記でいけるの』
これは不定詞、これは動名詞と言いながら丁寧に単語を分けてくれてるその横顔をずっと眺めていた。
『なに?』
「別に」
親戚だけど可愛いもんは可愛いでしょ。
「今日僕の家に来れば?お母さんたちも会いたがってるよ」
『うーん、行きたいのは山々だけど義勇お兄ちゃん待ってるからまた今度』
Aと幼馴染の冨岡さん。いいなーとか思うけど
『私今義勇お兄ちゃんと住んでんだよね』
「...は?」
______
貴
私もしかしてやばいこと言っちゃった?義勇お兄ちゃんと住んでること言ったら無一郎がすごい怖いオーラ出してきながら問い詰めてくるんだけど。
「だから一緒に住んでるんだ」
『そういうこと』
「うちに来ればよかったのに。親戚でしょ?」
うっ、正論だ。でも私は義勇お兄ちゃんと住むのがよかった、なんて言えない。
『あ!もうこんな時間!さ!帰ろ!』
私がそう言って帰る支度をし始めたらそれ以上無一郎が問いつめてくることは無かった。
「はぁ」
ため息は...聞こえなかったことにしよう。
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かにパン | 作者ホームページ:http://aisarekimetsu
作成日時:2021年9月24日 21時