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私の肝の太さに吹いた大野さんは、お酒のせいか笑いが止まらず、こっちが心配になるくらいゲラゲラ笑っていた。
その後お互いタクシーで帰った。
食事前と一変して、私はどこか清々しい気持ちだった。
あの様子だと、向こうもそうだと思う。
ちなみに、この前のキスマークは奥さんに付けられたらしい。
虫除けだって。お暑い！
そして、食事から四日が経過した。
前回よりちょーっと勇気が出たので、口紅を少し濃い色にして、アイラインなんか引いてみる。
こんな微々たる差に先輩は気づかないだろうけど、これだけでさらに勇気が出たような気がする。
今日は！
先輩を食事に誘ってみせる！
そう意気込んで先輩にいざ会ったものの。
「……先輩、なんか機嫌悪くないですか？」
「あ？ 気のせいだろ」
先輩の機嫌が悪い。
仕事が忙しいからかな？ とか考えるけど、学生時代のときの先輩を見ていた私からすると、もしそうだったら先に言ってくれる。
あまり雄弁な方ではないけど、変な誤解とかは招かないようにいつも気を遣ってくれていた。
だから、なんか機嫌悪い、という今の状況は私からするととても気がかりだった。
けれど、深く追求する間柄でもないし、先輩は詮索されるのが好きじゃない。むしろ嫌いだ。
七年間で空いた距離は、そう簡単に埋まるものではないと悟った。
「……変わっちゃいましたね、先輩」
寂しさに、ポツリとつぶやく。
「あの頃よりずっと、かっこよくなって……ヒーローになりました」
「……まあそりゃ、人は変わるだろ」
苦笑をこぼす。
そっか、そうだ。
人は、変わる。
先輩は、変わった。
私は？
変わってないのは、私だけ？
「それに、変わったのはおまえもだろ」
「……え？ 私？」
「ああ。ちゃんと社会人やってて驚いたよ」
「む、私をなんだと思ってたんですか！」
「なんだってそれは……」
言いかけて、チラッと私を見る。
パチ。
目が合った。
私が、ん？と首を傾げると、先輩の視線は剥がれた。
「やっぱなんでもねえ」
捕縛布に隠れた先輩の顔は伺えなくて、私はえー、と文句を垂れるのが精一杯だった。
刻一刻と時間は進んで、お別れの時間に近づいていく。
私の頭の位置には、先輩の首筋があったはずなのに、それは肩に変わっていた。
七年前、気づかなかったこと。
七年を経て、変わったこと。
先輩が、どんどん遠ざかっていく。
遠く。
遠くへ。
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Able(プロフ) - ぬっこさん» コメントありがとうございます！！遅くなり大変申しわけありません！リクエスト (？)ありがとうございます！ストックしてあるお話が途中なのでそれが終わってからにはなりますが、書かせていただきますので気長にお待ちください！ (2020年8月9日 11時) (
レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこ(プロフ) - またまた読み返しております!! ほんとに大好きな作品です（´-` ）主さんのペースで更新していただけるとこちらも嬉しいです！ ｢君に誓う｣のマイクside読んでみたいなって思いました（´-` ） (2020年8月1日 22時) (レス) id: fb813ea952 (このIDを非表示/違反報告)
can(プロフ) - ぬっこさん» 返信遅くなりごめんなさい、コメントありがとうございます！稚拙な文章ですがそう言っていただきありがとうございます！他作品の方にもコメントしてくださりありがとうございます。リアルが忙しくなかなか更新できませんが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年5月30日 16時) (レス) id: 756994877b (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこ(プロフ) - あああ、やばい切ない...好きですこの作品。 (2020年5月15日 12時) (レス) id: fb813ea952 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Able | 作者ホームページ：
作成日時：2020年4月30日 23時
