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「……そのあとどうしたの？」
「別になーんにも。次の日の朝、たまたま靴箱で遭遇したら、まるで告白かっこ仮のことなんてなかったみたいに話しかけて来たんだもん。先輩後輩の仲を続けたかったのか、気を使ってくれたのかはわかんなかったけど、意図を汲んで普通に話した」
「なかったことにしたと」
「……うん」
当時のことを思い出して、ちょっとじわっと来た。
バレないようにそっと俯く。
「Aえらいねー。私だったら絶対シカトする」
楓の冗談に、小さく笑った。
「これからどうするの？ 取材まだあるんでしょ？」
「うん……先輩の出方伺う」
楓が何やら考える仕草をして、パッと閃いたような顔で私を見た。
「Aはどうしたいの？ どうなりたいの？」
「……相澤先輩と？」
「うん。その先輩のこと、好き？」
思い出したのは、昨夜の先輩と、高校の時の先輩。
低くなった声、高くなった身長、長くなった髪。
彼の体にあった傷跡、守った証。
「うん、好き……すごく、好き」
楓がうんうんって頷く。
「じゃあ先輩落としちゃえ」
「えっ」
今度は私が目を見張った。
話が急すぎる。
「だって好きなんでしょ？ やることやったんだから既成事実もあるでしょ？ コンディションは完璧じゃん！」
「……既成事実……」
昨夜の出来事は、既成事実になるのか。
それが妙に生々しくて、ズンと気分が沈む。
そんな私を見て楓が少し慌てた。
「ごめん、言い方が悪かった！ けど、好きなんだったらアタックしちゃえ！」
「けど、先輩彼女いるかも……」
「はあ？ じゃあA、彼女いるのに他の女に手を出すような男好きになったの？」
「絶対ありえない！ 先輩だったら合理的じゃない、面倒だって言いそう！」
「え、合理的じゃない？」
楓が吹き出した。
面白いね、その先輩。
うーん、言われてみればそうかも。あ、でもユーモアのセンスは皆無だよ。皮肉と嫌味のセンスは随一だけど。
顔を合わせて笑った。
「ありがと、おかげで落ち着いた」
「ふふん、まあね！ けど大抵はなんとかなるよ。だって大野さんも取材相手と寝た説あるし」
「えっ、大野さん奥さんいるよね？ それにお子さんだって……」
「不倫だよー不倫。あの人結婚する前から女癖悪かったじゃん？」
「ええなにそれ……」
楓のおかげで落ち着きを取り戻して、オフィスに戻る。
だいぶ話し込んでいたみたいで、朝礼ギリギリになってしまった。
ちらりと大野さんを見ると、私に気づいてニカッと笑った。
いつもは爽やかだなあと思う笑顔で、何人の女性を堕としてきたんだろうってちょっと引いた。
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Able(プロフ) - ぬっこさん» コメントありがとうございます！！遅くなり大変申しわけありません！リクエスト (？)ありがとうございます！ストックしてあるお話が途中なのでそれが終わってからにはなりますが、書かせていただきますので気長にお待ちください！ (2020年8月9日 11時) (
レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこ(プロフ) - またまた読み返しております!! ほんとに大好きな作品です（´-` ）主さんのペースで更新していただけるとこちらも嬉しいです！ ｢君に誓う｣のマイクside読んでみたいなって思いました（´-` ） (2020年8月1日 22時) (レス) id: fb813ea952 (このIDを非表示/違反報告)
can(プロフ) - ぬっこさん» 返信遅くなりごめんなさい、コメントありがとうございます！稚拙な文章ですがそう言っていただきありがとうございます！他作品の方にもコメントしてくださりありがとうございます。リアルが忙しくなかなか更新できませんが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年5月30日 16時) (レス) id: 756994877b (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこ(プロフ) - あああ、やばい切ない...好きですこの作品。 (2020年5月15日 12時) (レス) id: fb813ea952 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Able | 作者ホームページ：
作成日時：2020年4月30日 23時
