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煽られてカチンときたのか、最初からウィスキーのロックなんて飲みだして、あちゃーと後悔したことは覚えている。
そんなところに、変わらないなあってホッとしたことも。
だんだん口数が少なくなって、最後は二人とも黙りだった。
多分この時点でお互いかなり酔っていた。
不意に先輩がA、って小さく呟くように名前を呼んで。
なんですか？(呂律がちゃんと回っていたか怪しい)って先輩の方に顔を向けて、自然と目が合った。
ああ、だんだん思い出してきた。
目が合った途端、体が焼かれるような感覚がして目が逸せなくなった。
店内の感じの良いゆったりとした音楽や他のお客さんの帰っていく声なんかが遠退いていって、意識から遮断される。
相澤先輩の黒瞳には私だけが映り込んでいて。
吸い込まれそうだった、先輩の瞳に。
数秒が、永遠に思えた。
バーテンの方が、ラストオーダーのお酒を置くまでずぅっと私たちは見つめ合っていた。
もし、私たちを引き戻すものがなかったら。
甘ったるいカクテルを片手に、酔った頭でそんなことを考えた。
バーを出て、表通りに出るために繁華街を歩いた。
すぐ目の前には風俗店やラブホテル。
二人のどちらも、タクシーを呼ぼうとは提案しなかった。
頭の隅で考えてはいたけど。
……もっと一緒にたいと思った。
理由なんてわからない。
通りがもうちょっとで終わるってところで先輩の服の裾を引っ張った。
私自身その気だったのかもしれないし、寂しさからかもしれない。
どうしたって先輩が振り向いて、目が合った。
それが合図だった。
そこからはホテルになだれ込んだ。
どろどろに溶かされて、かき抱くように抱かれた。
先輩が私の名前を呼んで、私はせんぱい、せんぱいって回らない舌で連呼した。
名前で呼べって言われて、消太さんって呼ぶと、目を細めて、ちょっと嬉しそうに笑った。
初めて名前を呼んで、初めてキスをして、初めて抱かれた。相澤先輩に。
鮮明に昨夜のことを思い出して、私はかあっと赤面した。
一連の経緯を聞いた楓が(ベッドでのことはさすがに省いて)、なーんだっていうみたいに言った。
「Aさ、完全に好きじゃん」
「……」
「その相澤センパイのこと。もしかして元カレ？」
「ちがう」
「ふーん」
すき、好き。
先輩を、私が。
「……高校のときね、」
「ん？ うん」
「私先輩に振られてるの」
「えっ」
楓が目を見張った。
「振られたっていうか、言わせてすらくれなかった」
「……」
「自信あったんだよ？ 先輩も私のこと好きだろうなあって。……けど、自惚れてただけみたい」
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Able(プロフ) - ぬっこさん» コメントありがとうございます！！遅くなり大変申しわけありません！リクエスト (？)ありがとうございます！ストックしてあるお話が途中なのでそれが終わってからにはなりますが、書かせていただきますので気長にお待ちください！ (2020年8月9日 11時) (
レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこ(プロフ) - またまた読み返しております!! ほんとに大好きな作品です（´-` ）主さんのペースで更新していただけるとこちらも嬉しいです！ ｢君に誓う｣のマイクside読んでみたいなって思いました（´-` ） (2020年8月1日 22時) (レス) id: fb813ea952 (このIDを非表示/違反報告)
can(プロフ) - ぬっこさん» 返信遅くなりごめんなさい、コメントありがとうございます！稚拙な文章ですがそう言っていただきありがとうございます！他作品の方にもコメントしてくださりありがとうございます。リアルが忙しくなかなか更新できませんが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 (2020年5月30日 16時) (レス) id: 756994877b (このIDを非表示/違反報告)
ぬっこ(プロフ) - あああ、やばい切ない...好きですこの作品。 (2020年5月15日 12時) (レス) id: fb813ea952 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Able | 作者ホームページ：
作成日時：2020年4月30日 23時
