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体育祭が終わり、警察学校内も落ち着いてきた頃
「あ……!君!」
「あ?」
陣平やハギと共に食堂に向かう為に廊下を歩いていると、後ろから誰かに呼び止められた
何処かで聞いた事のある声だなーと思い、振り返るとそこには隣の教場のアンカーだった田中くんの姿
あの時の私を舐めるような発言や態度が思い出され、少し気分が悪くなる
陣平なんて隣でもう喧嘩を売りそうなレベルだ
「お前あれだよな?隣の教場の田中とかいうコイツの事バカにした奴」
「陣平ちゃん!ステイステイ!!」
噛み付くように威嚇する陣平をハギが必死になって止めていた
田中くんの顔色を窺うと、何やら思い詰めたような表情をしている
『………私に何か用?』
「あ…その」
呼び止めておいて何故そんなに話しづらそうにしているのか
モジモジされるだけでも腹が立ってくる
こちとら空腹なんだよ 早くしてくれ
『…用がないなら、』
「その……ッ!体育祭の時はごめん!」
急に言葉を遮られただけでもビックリなのに、まさか謝罪されると思っていなかった私にはかなりの衝撃だった
陣平やハギも目を点にして言葉を失っている
「俺…君に本当に失礼な事を言った
吉永っていう同じ班の奴にぶっ叩かれたよ…
警察官以前に人として最低な発言をしてしまった
ずっと、謝りたかったんだ……ごめん」
深々と下げられた頭が謝罪が嘘ではないと物語っていた
私のファンであると聞かされた吉永さんに相当怒られたのもあるのだろうけど、実際に田中くんはそこまで悪い人ではないのだろう
ハギが「Aちゃんどうする?」と言ってきたが、どうするも何も、許さないという選択肢は元々無い
『田中くん 別に良いよ。もう気にしてないし
でも、これからは失言に気をつけた方が良いと思う
差別用語と捉えられる事もあるから』
「あ、ありがと…えっと、、」
『松田だよ』
「松田!本当にすまなかった!」
『もう良いってば』
馬鹿正直に謝り続ける田中くんが、なんだか忠犬のように見えてきた
可笑しくてクスクス笑っていると、陣平が「もう行くぞ」と腕を引っ張るので田中くんに別れを告げてその場を後にした
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「ほんっとヤキモチ焼きだよね陣平ちゃんって」
『え?!ヤキモチなの?!』
「ハギお前 昼食の唐揚げが惜しくねぇのか」
「やだな〜!冗談じゃんか!」
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ひぃな(プロフ) - 凡人さん» コメントありがとうございます!一気読みしてくださったんですか!?好きすぎるなんて嬉しいです(;_;)更新頻度不安定にはなりますが、これからも頑張りますので読んでいただけると幸いです!! (2022年6月14日 23時) (レス) id: f3d161dc85 (このIDを非表示/違反報告)
凡人 - コメント失礼します!作品好きすぎて一気読みしちゃいました〜!続きが楽しみです、無理のないように更新頑張ってください!応援してます💪 (2022年6月14日 22時) (レス) @page40 id: a488a8e9b0 (このIDを非表示/違反報告)
ひぃな(プロフ) - RIOさん» コメントありがとうございます!続きを読みたいと思ってくださるような作品を書くことができて嬉しいです!作者は学生の為、今後定期考査や大会を控えているので更新は曖昧になりますが、これからもよろしくお願いします! (2022年6月14日 7時) (レス) id: f3d161dc85 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 続きが読みたいです! (2022年6月14日 2時) (レス) @page37 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
ひぃな(プロフ) - いーすとさん» いーすと様コメントありがとうございます!!その一言が小説更新の原動力です!!!!嬉しすぎて飛びます!! (2022年6月12日 23時) (レス) id: f3d161dc85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひぃな | 作成日時:2022年6月8日 21時