. ページ33
.
「んふ、Aさん、もう俺の彼女なんすね」
「そうなりますが、」
「俺、今ならしんでもいいです」
「それはやめて？」
すごく喜んでくれる森本くんだけど、少し頭を整理して冷静になったらちょっと問題があることに気づいた。
私、キスされて落ちたチョロい女になってない…？
「あああの、森本くん、」
「ん？」
「その、私…ちゃんと森本くんが好き、だよ？」
あの一瞬で、まるで走馬灯のように考えた。
森本くんといると楽しいって思えること、
仕事に向き合う真剣な横顔も無邪気な可愛い笑顔も
私にいつも向けられる真っ直ぐな瞳だって、
全部全部簡単に思い浮かべられること。
森本くんと一緒なら毎日笑っていられるんだろうって思った。
森本くんの気持ちを知って、やっと自分自身も確信できたんだ。
そんな私の思いを打ち明けた。
「もっかい、好きって言ってください」
もう１回、が好きな森本くん。
見た目は男らしいくせして可愛い顔で言うから、
私もやだなんて言えなくて。
「森本くん、」
「…森本くん？」
「…慎太郎、」
「はい」
「好きだよ慎太郎」
そう言うと大きな身体で私を包み込んでぎゅーっと抱きしめられ、ふわりといい香りが鼻を掠めた
「俺も…俺も好きです」
「…ん、」
「Aさん、今日はこのまま俺んちこないっすか…？」
「え？」
「あっ、別に変なことしないですよ！？たぶん…」
「…たぶん？」
「う、その、でもほんとそういうつもりじゃなくて！」
体を離して焦ったように言う森本くん。
「まだAさんと一緒にいたいなって…」
伏し目がちに、だけどチラリと私の様子を伺う森本くんは何かの動物みたい。
「いいよ、私も一緒にいたい」
「っえ…ほんとですか？」
「ふふ、ほんと」
まだ戸惑う森本くんの手を引いて歩き出すと、
きゅっと手に力を込められた。
きっと一生、
この純粋な可愛さには敵わないんだろうな。
そして私はこれからもっと森本くんに…
慎太郎に、落ちていくんだろう。
『年下のキミは』fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 933人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雅(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！読んでて表情筋全く仕事してませんでした、、終始キュンキュンしっぱなしで余韻に浸ったまま眠れそうです(笑)こんな神作を生み出して下さりありがとうございます！ (2023年3月23日 1時) (
レス) @page41 id: 510ee6a3ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：hiina
| 作成日時：2021年2月11日 21時
