【MU】ド腐れ縁 (ページ3)

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1話ページ3

「サリー」

窓の外ではきゃあきゃあと騒ぐ声が聞こえる

「んん…あと5分」

枕に顔をうずめ、眠そうに口を鳴らす巨体モンスターに、人間は呆れた

いや、正確には人間ではない

彼女もれっきとした人型モンスターなのだ

「遅刻決定、なんだけどなあ…」

Aは窓の外のまがまがしい校舎を見つめた

「オイ起キロ、サリバン。Aガ困ッテイルダロウ」

この声は？

部屋にはサリーとAしかいない

サリーのルームメイトは既に外に出ている

では誰が？

部屋にいる二人は気にかけすらしない

「ねえ、彼も言っていることだし、早く行きましょうよ」

Aは下を向きながら言った

否

下ではない

彼女は自分の腹を見ていたのだ

「どうせ遅刻だろ、急いだって何の得にもならないよ」

彼女の腹は、小言を言うサリーにかみついた

かみつく、とは

露出した彼女の腹には、大きな口がいたのだ

「いでっ！いででで！」

「早ク起キロ」

彼女の腹の口は、パクパクと動いていた

「わかっ、わかったから耳を噛まないでくれ！」

「ね、もう反省してるから、放してあげて」

Aが自分の腹の唇をなぞると、その口はゆっくりと彼を放した