________S.I ページ26
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「あ、こんなとこにいた」
「ガリさんどしたの?」
「あなたのこと探してたんですよ。瑞稀くん、いいよね?」
「はいはい、どうぞ」
他のメンバーとは違い、日南の手を引く訳ではなく。
楽屋までの道をゆっくりと歩く猪狩の隣に、日南は並んだ。
「もう察してるっしょ?」
「何くれるの?」
「ほんと可愛くねぇ」
「うるさいなぁもう!」
メンバーの中でも、喧嘩の絶えない2人。
日南に対して最も厳しいのは猪狩であり、日南のことをよく思っていなかった時期もあった。
その為メンバーの中、下手すればJr.の中で1番攻略に時間のかかったアイドルである。
今でもそれは変わらないようで、猪狩は日南になかなか甘えて貰えないようだった。
井上からの紙袋の中に、小包をぽんと突っ込んだ猪狩は、そのまま頭を搔く。
「……マドレーヌ」
「マドレーヌ?」
「一応ちゃんとしたとこで買ったし…そこそこ良いヤツだから、大事に食えよ」
「分かった、ありがと」
「んじゃ」
今までのメンバーとは違い、誰かに引き取られるのではなく自ら日南から離れた猪狩。
どうやらこの距離感は、まだまだ縮まらないらしい。
そんな猪狩だからこそ、このホワイトデーのプレゼントに自分の気持ちを込めたつもりだった。
不器用なりにネットで調べ、ちゃんとそれを買いに行った。
鈍感な日南が意味を知ってるとは思えないが、それでも少しの希望を込めて。
♡マドレーヌの意味
________もっと仲良くなりたいです
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作者名:まれぴゅま | 作成日時:2020年2月24日 11時