愛情の裏返し ページ18
･
Fuma.K
『お誕生日おめでとうございます！』
「…うん、ありがとうなんだけど何で電話？」
『風磨くんお忙しいかなって』
「お前もだろ」
真っ昼間に突然かかってきた電話。
“日南A”と表示された画面に、何の用だと出てみてばこの通り。
まさかコイツに祝ってもらうなんて、と自分でも驚いた。
『風磨くんご飯連れてってください！』
「この前行ったじゃん」
『1年前の1回だけですよ？』
「大学生になったらな」
『またそれ！』
Aが小学生だった頃、明らかに怯えながら俺に向かって「ご飯連れて行ってもらえませんか？」とお願いしてきた。
いや俺犯罪者なりたくねぇし、何よりこんな子犬みたいに震え上がった女子小学生と飯行けなくね？と、高校生になったらなと言ったんだ。
そしたらその後、3年間1度も誘ってこなくなって、俺達の会話は当たり障りのない会話のみとなった。
ああ、やっぱ忘れてんだな、社交辞令だったんだろうな、と思っていた時。
コイツは高校生になった瞬間の4月1日に「高校生なりました！ご飯連れて行ってください！」と小学生の頃とは全然違う全力の笑顔で話しかけてきたんだ。
「25の男が女子高生と飯行く？」
『それ言ったら私誰ともご飯行けなくなっちゃいます』
「捕まりたくねぇし」
『何でそんな嫌がるんですか！』
嫌がるというより、嫌そうな顔をした時のコイツが面白いってだけ。
勝利や中島みたいにあからさまに可愛がれる訳でも、松島やマリウスみたいに仲良くキャピキャピ喋れる訳でもない俺は、こうするしかない。
『あ、私そろそろ仕事なんで』
「おう、ありがとな」
『ご飯楽しみにしてますね？(笑)』
「はいはい、頑張れよ」
『ふふ、失礼します』
忙しいくせに俺と飯行ってる暇なんてねぇだろと言いたくなるが、まぁそこは我慢。
ただの馬鹿なのか、俺の気持ちを汲んでるのか。
恐らく後者だろうけど、なんか調子狂うんだよなぁ。
ま、俺に懐く犬ってことで、忠犬になってもらおうかな。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 777人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HiHiJets」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まれぴゅま
| 作成日時：2020年2月24日 11時
