Story106 ページ8
「千空、A。君らの仲間か？」
「違うな」
「聞いたことのない声だよ」
固まったのは一瞬だった。私は器を置いて、服に仕込んだ苦無を取り出す。それを見たコハクは、すぐ金狼銀狼の元へと行った。
「金狼銀狼。小競り合いは中断だ」
コハクの声に、拉麺を持って行っていたクロムと、それを食べたいと駄々をこねる銀狼、そしてそれを諫める金狼が視線をそちらへと。私は後ろの気配を警戒しながら、屋台を背にした。一人で突っかかって司の二の舞になるのだけはごめんだ。相手の戦闘力がわからないから、コハクも突っ込まなかったのだろうし。
「なんだ。どうした……っ」
「！」
「説明は省く。…敵だ」
次の瞬間、私を含めた四人はその男を囲んで刃を突き付けていた。
「偽りなく答えろ。さもなくばこの場で喉を掻き切る！貴様、長髪男の手のモノか！？」
しばしの沈黙。そしてその男は、
「いやぁ、こんなかわいい子に絞められるなら悪くはないけど、なんか俺を誰かとさぁ、間違えちゃってない？ふぅ」
不敵な笑みを浮かべたまま、その男は背後に突き付けられてる槍の事など気にも留めず顔をあげた。
「長髪男なんて知らないなぁ。俺は石化が解けてから、ずっと一人だけど？」
「石化…やっぱり、現代人！」
顔のヒビも、それを証明している。あれは石化が解けた人間にあるものだ。私の首から左肩にかけても、ヒビがある。普段は服で隠れているけど。千空や大樹、杠、司。場所や形は違えど、必ずあった。千空曰く、ちょいひび割れてる、ということだったけど。
何故この男は復活できた？私たちと同じで、近くに偶々硝酸があったから？それとも…石化復活液で司に復活させられたから？普通に考えれば後者の確率の方が高い。彼が千空を殺すための刺客だったとしたら…。苦無を握る手に力が入る。
突然の事に、村人たちが騒然とし始めた。なんだなんだ、と、今は野次馬のようになっているけど、早めに避難させる…？
「どっかで見た顔だと思ったらテメー、あさぎりゲンか」
「知り合いか！？」
「いーや、一ミリも知らねぇ。ゴミみてーな心理本書いてたマジシャンだ」
そうだ！…いやほんと、私の記憶マジで使えない！本人目の前にしてようやく思い出すとか！拉麺のくだりくらいで思い出していたら、こんな無駄に警戒しないで済んだのに！
(あさぎりゲン)
(頭は回るが体力はない)
(この世界で…これから深く、私たちに関わる人間)
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灯霧(プロフ) - Rainさん» コメントありがとうございます！尊いいただきました…！千空推し仲間がいて嬉しいです！ (2020年6月18日 0時) (
レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ひかさん» コメントありがとうございます！一番いただきまして恐縮です！よろしければ今後もよろしくお願いいたします！ (2020年6月18日 0時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 夜さん» 返信が遅れて申し訳ございません！コメントありがとうございます！更新、これからも頑張らせていただきます！ (2020年6月18日 0時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - このお話大好きです！！千空推しの私にはぐはっ…尊い… (2020年6月17日 18時) (レス) id: a884ba806a (このIDを非表示/違反報告)
ひか - スゲェッス、感激！！今まで見た中で1番いいお話でした。 (2020年6月14日 5時) (レス) id: 186ecad035 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2020年6月7日 17時
