Story135 ページ37
千空と共に戻ってきて、コハクに私の考える得物の事を相談しつつ鍛錬に励むこと、一時間。
「少し休憩しようよぉおおお！」
「だめだ！あと三セットこなしてからだ！」
「ほらほら、次来るよ！」
もうほぼ逃げの一手になってる銀狼の叫びに、武器を構えた金狼と私が追いかけてくるコハクを牽制しつつ続く。まぁずっとひたすら打ち込みっていうのもきついけど、驚愕すべきはそれを指導しているコハクの力。さすが素ゴリラと言われるだけのことはある。…ごめん、コハク。
そんな私たちを倉庫から見下ろすクロムに気づいたコハクが、動きを止めた。彼を見上げて、若干言いづらそうに言葉を紡ぐのを見て、私もそちらを見上げる。
「クロム。…本当は君にこそ稽古をつけたいのだ。だが、マグマを倒せる可能性があるのは、金狼たち三人だけでな…。すまない」
「クロム！テメーがルリに惚れてっから、金狼か銀狼がルリと結婚しちまう作戦をメンゴメンゴ！っつってんだよ！」
「ズバズバいくな、いつもながら君は…」
「千空！そんな言い方したらダメでしょ！」
割り込んできた千空のあまりの言い様とその表情に、コハクは白目をむいている。私は思わず、千空の後頭部を思い切りひっぱたいた。
「いっってーなっ！何しやがるこのゴリラ娘！」
「ゴリラで結構！もうちょっと人の心の機微ってもんを考えなさい！」
まったく、昔から千空は変わらない。まぁそういうところに救われたりもする…けど、今のはちょっとあんまりだ。そう考えてたら、なぜかクロムがとてもいい笑顔を浮かべて。
「おう、まるで問題ねぇ」
え？と戸惑っている間に、彼は倉庫から飛び降りた。
「科学の万能薬でルリが治って幸せになってくれりゃぁ、それ以上の願いはねぇよ。なんせ俺は、天才科学使いだかんな！」
「クロム…。今の君、カッコいいよ」
「ククッ、妖術使いから科学使いにジョブチェンジか？」
「ああ、もう妖術は名乗らねぇ！」
「御前試合はバトルチームに任して、俺ら科学チームはサルファ剤作りに専念すんぞ」
「おうよ！」
夕焼けに向かって歩く二人の背中は、大きいものに見える。それを見て、涙がこぼれそうになった。
「…コハク。私たちも頑張ろうね」
「ああ、無論だ」
(あの二人なら大丈夫)
(やるべきことをやりさえすれば)
(きっと期待に応えてくれると)
(心から信じられる)
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灯霧(プロフ) - Rainさん» コメントありがとうございます！尊いいただきました…！千空推し仲間がいて嬉しいです！ (2020年6月18日 0時) (
レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ひかさん» コメントありがとうございます！一番いただきまして恐縮です！よろしければ今後もよろしくお願いいたします！ (2020年6月18日 0時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 夜さん» 返信が遅れて申し訳ございません！コメントありがとうございます！更新、これからも頑張らせていただきます！ (2020年6月18日 0時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - このお話大好きです！！千空推しの私にはぐはっ…尊い… (2020年6月17日 18時) (レス) id: a884ba806a (このIDを非表示/違反報告)
ひか - スゲェッス、感激！！今まで見た中で1番いいお話でした。 (2020年6月14日 5時) (レス) id: 186ecad035 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2020年6月7日 17時
