Story134 ページ36
え、あれ？なんでこーなった？…って前にもこんなことあった気がするけど、本気でわからない。
きょどってる私を見て、千空が深いため息をつく。
「テメーのそれは、天然か」
「それ？なんのこと？」
「ほいほい男に笑いかけんな。しかも照れさせるような破壊力抜群のやつをよ」
「…え、だってそれは二人にお礼が言いたくて」
「文句は受け付けねぇ」
そしてまた、抱きしめられる。……あー、これはあれか。もしかして。
「千空、金狼と銀狼に嫉妬したの？」
「…うるっせーな」
「うわぁ、珍しい。恋愛脳に引っ張られ過ぎでしょ。あんなの千空なら、何でもない事みたいに完璧スルーだと思ってたよ」
「できるかよ。惚れた女に見惚れた男がいるんだぞ。気分最悪だ」
拗ねるように言って、私の首筋に顔を埋める千空の頭を、よしよしと撫でた。
「大丈夫だよ、私が好きなのは千空だけだし…それに私の記憶が確かなら、これから千空は、もっと私を嫉妬させるはずだから」
「あ？何の話だよ」
「未来の話。でも教えてあげない」
「ほぉ、テメーのあいまいな記憶っつー中でも印象的で思い出せる事だな？」
「さーてね。まぁそれはこれから御前試合がどう転ぶかによるかなぁ」
クスクスと楽しそうに笑う私に不満を持ったのか、千空は身体を放してじっと瞳を見つめてくる。…う、それに弱いんだけど、私。
「まぁだからと言って、俺を嫉妬させていい道理はねぇだろ」
「そりゃないけど」
「ならお仕置きだ」
顔が近づいてくる。さすがに三度目ともなれば、ある程度心の準備はできた。目を閉じて、そっとキスを受け入れる。何度か唇をついばんだ千空が、顔を離した。
「Aにこんな風に近づいていいのは、俺だけだ。わかってんだろーな？」
「もちろん、他の男にキスされるなんて御免だね。されそうになった瞬間ぶっ飛ばす」
「遠慮するなよ、俺の時みてぇにな」
「…あれは一応、千空相手だからギリギリ手加減したよ？してなかったら、気絶どころか一日は痛みでうごけなかったはずだし」
「そんな加減も無しだ。いいな」
「はいはい、わかった。約束ね」
小指と小指を絡めて指切りげんまんを歌えば、ようやく千空は満足したようだ。
「そんじゃ戻るか。さっさといろいろそろえなきゃな」
「そういえば作るものって？」
「あとで設計図書いてみせてやる」
(科学倉庫に着くまで)
(私たちの手は、絡み合ったままだった)
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灯霧(プロフ) - Rainさん» コメントありがとうございます！尊いいただきました…！千空推し仲間がいて嬉しいです！ (2020年6月18日 0時) (
レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ひかさん» コメントありがとうございます！一番いただきまして恐縮です！よろしければ今後もよろしくお願いいたします！ (2020年6月18日 0時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 夜さん» 返信が遅れて申し訳ございません！コメントありがとうございます！更新、これからも頑張らせていただきます！ (2020年6月18日 0時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - このお話大好きです！！千空推しの私にはぐはっ…尊い… (2020年6月17日 18時) (レス) id: a884ba806a (このIDを非表示/違反報告)
ひか - スゲェッス、感激！！今まで見た中で1番いいお話でした。 (2020年6月14日 5時) (レス) id: 186ecad035 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2020年6月7日 17時
