Story109 ページ11
ふっと、千空がまじめな顔をする。
「テメーの記憶にゃ、ゲンの記憶もあるのか？」
「んー…まぁね。でも前に言った通り、ほとんど思い出せないの。さっきも、ゲンの名前が出てきてようやく、どんな人なのか思い出した…ってくらい。だからやっぱり、あてにはできないなぁ」
「あてするつもりなんざこれっぽっちもねーよ」
「そう？ならよかった。…ああ、そう言えばさっき思い出したんだけど、石化する一週間くらい前かなぁ、テレビ番組に出演してほしいってオファーがあったの、覚えてる？」
「…ああ」
「…聞いといてなんだけど、意外だね。覚えてるとは思ってもみなかった」
「テメーのことだ。どんな小さなことでも覚えてらぁ」
さらっと言われた言葉に、赤面する。いやいやいや、そんな殺し文句…！だって科学以外に興味なさそーな千空が、テレビ番組のオファーなんてどーでもいい、くだらないことを覚えていてくれたんだよ！？私だってさっきまで忘れていたようなことを！うれしいわフツーに！
「っ、と、とにかく、その時師範が出てくれー！！って頼み込んできたの。建前は道場の看板背負って宣伝のためにって。ちなみに本音は、共演者のサインが欲しいから。…その共演者が、司とゲンだったよ」
「ほぉ。そんなことがあったのか」
「全力で断ったけどね。宣伝はともかく、サインのために弟子使うとか、どういう師範だよって感じだったし」
「まぁそりゃ正解かもしれねーな」
「…？なんで？」
「テメーと司に面識がありゃー、司はテメーを殺さなかったかもしれねー。つまりお前が今、司帝国にいる可能性もあったってこった。…そんなのごめんだ」
千空がまじめな顔のまま、私の顔を覗き込む。
「テメーの隣に立っていいのは、俺だけだからな」
「っ…」
「そう言えば、愛の言葉をくれてやるって約束だったなァ？」
「いらないって言ったでしょ！馬鹿っ、んっ！」
ぐいっと引き寄せられて、足場が悪いから私はそちらに身体を倒すしかなくて。気づいたら、唇を塞がれていた。ちょ、ゲン見てる！めっちゃ視線感じる！どんどんっと肩を叩いても、千空は唇を一瞬離しただけで、またすぐキスをしてきた。
「ン――っ！っ、はっ…っ」
唇を吸われて、指先までビリビリとしびれるような感覚が私を襲う。いつの間にか私の後頭部に手を回していた千空は、さらに唇を舌で割り、中に舌をねじ込んできて。
(初めての感覚に)
(思わず千空のみぞおちに拳を入れていた)
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灯霧(プロフ) - Rainさん» コメントありがとうございます！尊いいただきました…！千空推し仲間がいて嬉しいです！ (2020年6月18日 0時) (
レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ひかさん» コメントありがとうございます！一番いただきまして恐縮です！よろしければ今後もよろしくお願いいたします！ (2020年6月18日 0時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 夜さん» 返信が遅れて申し訳ございません！コメントありがとうございます！更新、これからも頑張らせていただきます！ (2020年6月18日 0時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
Rain - このお話大好きです！！千空推しの私にはぐはっ…尊い… (2020年6月17日 18時) (レス) id: a884ba806a (このIDを非表示/違反報告)
ひか - スゲェッス、感激！！今まで見た中で1番いいお話でした。 (2020年6月14日 5時) (レス) id: 186ecad035 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2020年6月7日 17時
