Story98 ページ16
一方その頃。男性陣は浴衣に着替えて、二対二の卓球勝負をしていた。五条夏油コンビ対七海灰原コンビである。夜蛾はもう監督を諦めたのか、一人大浴場へと向かってしまった。
「オラァッ!術式反転、赫ぁ!」
「くっ…!灰原!」
「はいよぉっ!必殺、遠距離スマッシュ!」
「…なんで赫なんて技名何だろうねぇ」
実際術式を使うわけではないが(もちろん、そんなことをしたら卓球ボールだけでなく旅館がぶっ壊れる)かなり本気で、彼らは打ち合っていた。球のスピードがプロ並みなのは、呪術師として普段から肉体を鍛えているからだろう。単なる打ち合いでなく駆け引きも重要になってくるこういうゲーム、傑は久々に悟とコンビを組んでいる実感を得ていた。
(楽しい)
傑、任せた!そんな風に言ってくれる、親友。
(嬉しい)
頼られるということが、まるで子供のように嬉しい。
(安心する)
自分が相手を、相手が自分を、確実に信頼していて理解している。どう動くか、どう対戦相手を翻弄したいか、手に取るようにわかる。
(私の世界が、ここにある)
悟とはよく反発したものだ。いや、今でも喧嘩は絶えない。だが以前に比べ、圧倒的に接触する時間が少なくなっていった。彼は特級に昇格し、自分は一級のまま。その差が、寂しかった。どんどん強くなって、どんどん前に進んでいく。伏黒甚爾にも勝利をし、勝率も上げている悟。一本取るのが精一杯な、自分。
「傑!」
「ああ!」
チャンスボール。緩急をつけた悟の揺さぶりによって、七海の返球が浮いた。一歩足を踏み込み、跳んで、思い切り打つ。
カァンッ!
小気味の良い音を立てて相手コートにワンバウンドしたボールは、そのまま壁に跳ね返った。灰原が拾う体勢をとる暇もない。
「っしゃぁ!」
「うわぁああああっ!悔しい、けどすごい!さすが夏油さん!」
「チッ…」
三者三様の反応をする中、傑は悟へと目を向ける。溢れんばかりの笑顔。本当に、少年のような。そこにはただの、十六歳の男の子がいて。彼が片手を上げる。その手に、自分の手を叩きつけて。
パァンッ、といい音がして。
「やっぱ俺と傑のコンビは」
「最強だな!」
(輝かんばかりの笑顔)
(本心だとわかる、声音)
(だからこそ私も)
(久々に心の底から)
(笑顔を浮かべられた)
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灯霧(プロフ) - 森さん» 応援ありがとうございます!また七海夢書くと思うので宜しくお願い致します! (2022年2月28日 0時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
森 - YouTubeのはきっと、千葉茉吏衣というアイコンの人だと思います。 これ面白かったです❗応援してます‼ (2022年2月25日 0時) (レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
福寿茶寮(プロフ) - 灯霧さん» YouTubeでも似たようなコメントをみた事がありまして,もしかしてと思ったのですが,そうだったんですね…。 ありがとうございました。 (2021年12月22日 21時) (携帯から) (レス) id: 998ae028aa (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 福寿茶寮さん» 申し訳ございません!私が気づいてなかったばっかりにご不快な思いをさせてしまいました。報告し非表示にしてあります。あの人はどこの七海夢にも出没するアラシみたいなものです。今後も見つけ次第非表示にいたします。お手数をおかけいたしました…! (2021年12月22日 15時) (レス) id: 659f7a97b9 (このIDを非表示/違反報告)
福寿茶寮(プロフ) - マリイ(七海建人の嫁)さん» 変な事書くのやめて下さい。 (2021年12月22日 11時) (携帯から) (レス) id: 998ae028aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2021年8月3日 16時