Story331 ページ44
それからは大忙しだった。何せ総勢十四人が住める家など、無いに等しい。結局戸建ではなくアパートを丸ごと買い取れるようなところを探して、そのアパートにみんなが住むことにしたのだ。場所は色々と候補があがったけれど、結局伊豆で落ちついた。山もあれば海もある、市街地も近いということと、東大を目指すしのぶちゃんとの行き来がしやすくなるようにという理由だった。
契約が終わったのは梅雨の終わり。夏の日差しのなか、私たちは引っ越しの準備を済ませる。とは言っても、この人数の割に荷物は比較的少なかった。後は現地調達やネットでも問題ないだろうという判断だ。でも移動はまとまっていくと大変だから、まずは天元たち四人が現地入りすることになった。
「天元、お引越しの挨拶をご近所さんにするときは、お化粧落としてね。ただでさえ目立つんだから」
「なんだよ、挨拶なんだから派手でいいだろ!」
「だめです!もう…。雛鶴ちゃん、まきを姐さん、須磨ちゃん、よろしく」
「はい。ご挨拶もですが、各お部屋の準備も整えておきますね」
「予定通りの日程で動くつもりだけど、何かあったら連絡して」
「はい」
スマホは、もうすでに全員分の契約を済ませた。自称神様の改竄工作は本当に速やかで、夢の中で頼んだことは次の日に実現するしていた。保険証とマイナンバーカード通知書が全員分掘り炬燵の上に放り出されているのを見た日にゃ、ちょっと驚いたけど。でもそれをフル活用して、とりあえず必要なものは全員分揃えられたからいいや。
じゃぁな、とボストンバッグとキャリーケースを抱えて駅に向かう彼らを見送って、私は家に戻った。四人がいなくなっただけで、結構部屋が広く感じる。嫁ズが使っていた私の部屋に私は戻り、私物の本格的なまとめ作業に入る予定だ。ピリリリと連絡が入って、スマホを見る。玄弥くんが入る予定の学校からの連絡メール。最初の来校日やそのときに持っていくものなどを一通り確認。
「住民票を移さないと…。それは蜜璃ちゃんと小芭内にお願いするとして…」
今まで面倒な作業は私がやってきたけど、これからはみんなにもそういう作業をしてもらうことになっている。だって。
(だってみんなはこれから)
(この世界で)
(第二の人生を歩むのだから)
273人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灯霧(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます。いまとてもバタバタしているのですが必ず更新いたします! (2022年7月19日 21時) (レス) id: e0bf1f0d56 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています (2022年7月14日 2時) (レス) @page47 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - pppさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて光栄です!この先をどう進めていこうかというなは決めているのであとは書く時間だけなのですが…なかなか難しくて申し訳ありません。でも最後までやりますのでお待ちください! (2022年5月23日 14時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
ppp - この作品が好きで最初から何度も読み返してます。更新、なかなか大変かと思いますが、続きを楽しみにしております。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: f728de7b66 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - むるさん» ありがとうございます、励まされます! (2022年3月28日 21時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:灯霧 | 作成日時:2021年12月4日 15時