Story328 ページ41
「ねぇ、輝利哉くん。聞いてもいい？」
「はい、なんでしょう？」
「輝利哉くんは…これからどうするの？」
「私……ですか？」
まさかそんなことを聞かれるとは思ってもいなかったのだろうね。キョトンとした表情を浮かべる彼は、とても歳相応のものだった。
「鬼を倒すことは出来ました。犠牲は多々ありましたが…それでも私たちは、呪われた運命から解放された。これからは…そう、ですね。どうしましょうか」
でも、まるで考えていませんでした、と笑う彼は、とても九歳とは思えない表情をしていた。
「現実的に、生き残った隊員たちや今まで協力してくださった方々の生活もありますし、家業を継ぐのは決まっていますね」
「そっか。家業って、何やってるの？」
「産屋敷家は平安の時代から残っている、いわば華族なんですよ。なので…まぁ色々と手広くやっています。そのまとめ役を私が…ということになるでしょうね」
「九歳なのに？」
「九歳でも、です。でも大丈夫。私には頼りになる妹たちがいますし」
「…輝利哉くん。それは、だめだよ」
どうしても、そう思ってしまう。だって、輝利哉くんは諦め切った表情をしていたから。
「確かに輝利哉くんたちは、鬼殺隊の当主として厳しい教育を受けてきたんだろうね。ちょっと接しただけの私でも、それが良くわかるもん。でも、それでも、輝利哉くんは九歳だよ。大人ではないんだよ。もっと周りの人に甘えていいんだよ？」
「ですが…立場というものもありますし」
「例えばさ、周りの人で輝利哉くんたちを生まれた時から知っている、っていう人はいないの？」
「…そう、ですね。私たちは五つ子で赤ん坊の頃は人手が必要でしたし、母上の信頼している人が手伝ってくださいました。今でも、産屋敷家に仕えてくれています」
「ならその人は、おばあちゃんみたいな存在じゃない。今ならもう、その人に甘えることもできるんじゃないかな。…ご両親が亡くなってしまったのなら、その人に孝行するとか。それも一つの甘え方だと、私は思うよ？」
押し付けがましいかもしれない。余計なお世話だろう。それでも私はやっぱり、玄弥くんや無一郎に思うよう、彼に子供らしい子供になって欲しかった。そういう時間が取れるということも、平和だからこそできることだ。…彼らの戦いが終わったというのなら。
「ほんの少し立ち止まって子供になっても、誰も文句は言わないよ」
(少しの沈黙の後)
(輝利哉くんの目から綺麗な涙が溢れた)
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灯霧(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます。いまとてもバタバタしているのですが必ず更新いたします！ (2022年7月19日 21時) (
レス) id: e0bf1f0d56 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています (2022年7月14日 2時) (レス) @page47 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - pppさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて光栄です！この先をどう進めていこうかというなは決めているのであとは書く時間だけなのですが…なかなか難しくて申し訳ありません。でも最後までやりますのでお待ちください！ (2022年5月23日 14時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
ppp - この作品が好きで最初から何度も読み返してます。更新、なかなか大変かと思いますが、続きを楽しみにしております。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: f728de7b66 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - むるさん» ありがとうございます、励まされます！ (2022年3月28日 21時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2021年12月4日 15時
