Story327 ページ40
「A、お館様がお呼びだァ」
「…え、私だけ？」
てっきりみんなと一緒に行くのかと思ったが、名指しで言われて戸惑う。だって私、輝利哉くんと話さなきゃならないようなことってないよ？…多分。
「さっさと行け、愚図。お館様をお待たせするな」
「イタタタっ、蹴らなくてもいいんじゃないの！？」
ゲシゲシと小芭内に背中を蹴られる。痛いっての、フツーに。慌てて立ち上がった私は、そのままワタワタと隣の部屋に行った。にっこりと微笑みを浮かべる輝利哉くんの向かいに座る。
「えーっと…」
「突然呼びつけてすみません。でも貴女に、どうしてもお願いがあるんです」
微笑みを真剣な表情に変えた彼に、私も居住まいを正した。なんとなく、きちんと聞かなきゃ行けない気がする。それは例えば大学の教授に呼び出された時や、社長としての父と接する時、そして進路相談の時の父を前にした時のようだった。
「すでに聞いているかもしれませんが、こちらに残る方々が少なからずいらっしゃいますね。決意をしかねていた方達にも、今決断を促したところです。遠からず、彼らの決意を貴女は聞くことになる」
「そう…でしょうね」
何せそのために、自称神様は輝利哉くんをこちらに連れてきたのだ。彼とみんなが何を話したのか、詳細は聞いていない。だが皆、すっきりとした顔で戻ってきた。決断をしたのだろう、ということは見てとれる。
「そこで、お願いです。こちらに残る皆の『やりたいこと』探しを、手伝っていただけませんか？」
「……へ？」
「まぁすでに、決めている方もいるようですが…。それにしてもこちらで刀を振って生きていけるわけではないでしょう？彼らのためにも、いわば自立する手伝いをしてほしいのです」
「それはもちろん、そのつもりでしたけど…」
何せみんなは、こちらの世界に来て日が浅い。今までは目の前の生活をなんとかすることだけわかってもらえればよかったけれど、これからもこちらで過ごすとなれば話は別。例えば杏寿郎なんかは、これからどうするか全く聞いていない。まだ若い玄弥くんや無一郎にはとりあえず学校に行くよう伝えたけれど。世の中の可能性が彼らにとってどのくらいあるかは未知だ。だからこそ、私も一緒にそれを探すつもりだった。
「ありがとうございます。貴女ならそう言ってくださると思っていました」
(現在九歳という若さで)
(彼らの将来を案じる輝利哉くん)
(…輝利哉くんの未来は、どうなのだろう？)
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灯霧(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます。いまとてもバタバタしているのですが必ず更新いたします！ (2022年7月19日 21時) (
レス) id: e0bf1f0d56 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています (2022年7月14日 2時) (レス) @page47 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - pppさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて光栄です！この先をどう進めていこうかというなは決めているのであとは書く時間だけなのですが…なかなか難しくて申し訳ありません。でも最後までやりますのでお待ちください！ (2022年5月23日 14時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
ppp - この作品が好きで最初から何度も読み返してます。更新、なかなか大変かと思いますが、続きを楽しみにしております。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: f728de7b66 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - むるさん» ありがとうございます、励まされます！ (2022年3月28日 21時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2021年12月4日 15時
