Story319:煉獄side ページ32
部屋に入った途端、煉獄はガバッと畳に額を擦り付けた。
「まずはお祝いの言葉を！鬼殺の悲願達成、おめでとうございます！」
「ありがとう、杏寿郎」
以前に聞いた時と変わらぬ、力のある声音。自然と輝利哉は柱合会議を思い出していた。何度か父の介添をしたが、彼らはいつでも力強い。その中でも煉獄は、真っ直ぐな印象がある。
「こちらでの生活はどうだい？」
「はっ。見るもの聞くもの全て新鮮です！ですがさつまいもは相変わらず美味いです！」
「ふふっ。母も杏寿郎の持ってくるさつまいもは目利きに目利きを重ねたどのさつまいもより美味しいと、いつもおっしゃっていた…。こちらの世界にも、あるんだね」
「はい！輝利哉様、俺はAを嫁に迎えたい！どうか許可をいただけないだろうか！」
「…杏寿郎は、いつも真っ直ぐだ」
脈絡もないように聞こえるが、もちろん彼の中では話がつながっている。こちらの世界の暮らしについて、Aという存在を抜きに語るのは無理だ。そして煉獄は彼女に惚れている。しかし煉獄は今でも鬼殺隊の一員のつもり。その命は煉獄のものではなく鬼殺隊のものなのだ。だから現当主の輝利哉に許可を求める。
だから輝利哉は、あえてその許しを出さない。
「それは杏寿郎が決めればいい。君は自由なのだから」
「ですがそれでは筋が通りません！」
「いいや、通るとも。なぜなら杏寿郎、君は鬼殺隊にちゃんと尽くしてくれた。そして今、私は鬼殺隊の解散を改めて宣言する。…いままで、よく戦ってくださいました。産屋敷家の悲願成就にご助力いただきましたこと、深く感謝いたします。どうかこれからは、その時間を自分自身のためにお使いください」
「！！」
当主としてではなく、一人の産屋敷輝利哉としての言葉を伝えた。煉獄が、大きな目をさらに見開く。そして、ふっと笑った。
「正直輝利哉様のことは、どう見ても女子だと思っておりました！男の子らしい一面を初めて見ましたぞ！」
「それは、女子として振る舞っておりましたので…」
「いやぁこれはめでたい！どうか輝利哉様、長生きをしてください！ご多幸を切にお祈りしております！」
「煉獄様も、どうかお元気で」
(俺に未練も迷いもない)
(輝利哉様のおっしゃる通り)
(これからは自分自身のために、Aと生きたいと願う！)
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灯霧(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます。いまとてもバタバタしているのですが必ず更新いたします！ (2022年7月19日 21時) (
レス) id: e0bf1f0d56 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています (2022年7月14日 2時) (レス) @page47 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - pppさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて光栄です！この先をどう進めていこうかというなは決めているのであとは書く時間だけなのですが…なかなか難しくて申し訳ありません。でも最後までやりますのでお待ちください！ (2022年5月23日 14時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
ppp - この作品が好きで最初から何度も読み返してます。更新、なかなか大変かと思いますが、続きを楽しみにしております。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: f728de7b66 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - むるさん» ありがとうございます、励まされます！ (2022年3月28日 21時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯霧
| 作成日時：2021年12月4日 15時
