Story314 ページ27
「「「…お館様…!!」」」
天元が、小芭内が。蜜璃ちゃんが、しのぶちゃんが。
雛鶴ちゃんが、まきを姐さんが、須磨ちゃんが。行冥さんが、無一郎が。
義勇が、杏寿郎が。実弥が、玄弥が。
みんないきなり片膝をついて、頭を下げている。唖然としていた私は、にこやかに笑う子供に声をかけられて初めて我に返った。
「初めまして、相沢Aさん。私の
「…っ、産屋敷、さん…!」
鬼殺隊のトップ。無限城の戦いで父親を亡くし、現在その跡を継いでいる子供。……輝利哉、と言っただろうか。深々と頭を下げる彼に、思わず私も頭を下げた。
「いえ、あの、そんな!確かに大変ですけど、私もなんだかんだ助けられていますし…!」
「そうはいっても、いきなり彼らを受け入れるのは大変だったでしょう。こちらの自称神様から、情報はいただいています。…大変な時にみんなを保護してくれて、ありがとうございます」
「あの、ほんと…大したことはしていないので…。頭をあげてください……!」
「ボクにもそれくらいの感謝してほしいなぁ」
「お前は黙ってろまじで」
横から茶々を入れる自称神様を睨みつけて、輝利哉…さん?でもこどもだからくんでいいのかな?の手を取る。
「輝利哉くん…って呼んでもいいですか?」
「っ、お前、お館様に向かって!」
「構わないよ、小芭内。…ぜひ、そうしてください」
私を怒鳴ろうとした小芭内を一声で制する。おお、これが鬼殺隊のトップ。確かに大人の私より大人っぽい。…でもきっと、彼はただの子供だ。両手をとって、額に当てる。それからそっと、彼を抱きしめた。
「頑張ったね、辛かったね。…もう、大丈夫だからねぇ」
「…っ、」
「みんなの前だからやりづらいかもしれないけど…鬼殺隊って、無くなったんだよね?なら…もう、そんな風にしなくていいよ。君は遊び盛りの子供だよ。ちょっといろんな知識があるだけの、普通の子供なんだよ。大人に甘えよう。助けてもらおう。…ね、みんなそれを許してくれるから」
「……あり、がとう…ございます」
ぎゅ、っと私の洋服を握りしめる手は、小さな子供の手だ。鬼殺隊という、産屋敷という、特殊な家に生まれてしまったから、運命だと。仕方ないと。割り切ることをせざるを得なかったはず。でもそのしがらみはもう、解けたのでしょう?
(母上に会いたい)
(父上に会いたい)
(そう言って泣く彼を)
(私は抱きしめた)
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灯霧(プロフ) - シンヤさん» コメントありがとうございます。いまとてもバタバタしているのですが必ず更新いたします! (2022年7月19日 21時) (レス) id: e0bf1f0d56 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています (2022年7月14日 2時) (レス) @page47 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - pppさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて光栄です!この先をどう進めていこうかというなは決めているのであとは書く時間だけなのですが…なかなか難しくて申し訳ありません。でも最後までやりますのでお待ちください! (2022年5月23日 14時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
ppp - この作品が好きで最初から何度も読み返してます。更新、なかなか大変かと思いますが、続きを楽しみにしております。 (2022年5月22日 20時) (レス) id: f728de7b66 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - むるさん» ありがとうございます、励まされます! (2022年3月28日 21時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2021年12月4日 15時