Story152 ページ13
悲鳴嶼さんは、柱の中で最年長。唯一私より年上の人だ。だから、だろうか。
「悲鳴嶼さん。もし…もしも、どうしても受け入れがたい事実を目の前に付きつけられたら、悲鳴嶼さんはどうしますか…?」
「…その内容にもよるだろう」
こうして、私の不安を少しでもさらけ出そうと思ったのは。
「…皆さん、気づいてますよね。私が隠し事をしているって事」
「……」
「沈黙が答えだと思っておきます。…私は隠し事をしている。大きく分けて2つ。1つは私の家族の事。まぁこれは聞かれていないから話していないって言うのも大きいんですけどね」
「伊黒には話したのではないのか?」
「伊黒さんから聞いてますか。…口止めもしてませんしね、それは全然いいんですけど。家族が死んだことで私がどんな状況なのか、これからどうするつもりなのか…そう言ったことは話してません。ただ、死んだとしか」
「…この部屋に、骨壺があると聞いた。あとで経を読んでもよいだろうか」
「お気持ちだけ受け取っておきます。家族は宗派が違うので」
「…そうか」
南無阿弥陀仏。そう小さく呟くだけにとどめてくれた悲鳴嶼さんに感謝。
「もう1つの隠し事は…皆さんに関係することです。皆さんに目立ってほしくない、1番の理由」
「胡蝶からは、目立つと妙な客引きに会う、と言われたが…」
「それも本当ですよ。嘘はついてません。だけど、1番の理由じゃない。…私はその理由をお話するのが怖いんです。でも今日、友人に言われました。いつまでも隠し通せると思うなら、そっちのほうが不味いと」
普通に考えればそうだ。これだけ長い間一緒にいるのに、彼らに関しての大きな隠し事をしている。察知されていないのならともかく、みんなはそれに薄々勘付いているんだ。なのに私は、追及してこないみんなに甘えてそれを言い出せずにいる。
「…卑怯ですよね。その話をする勇気がないのに、こうして様子を見に来てくれた悲鳴嶼さんに甘えて…。話してくれるまで待つと言ってくれるみんなに、甘えてしまって」
「…そうかもしれんな」
悲鳴嶼さんの言葉に、唇を引き締めた。やっぱり、そう思うんだ。私は卑怯だ。そう再確認させられた。
「だが、それでいい」
「…は?」
(続いた言葉は意外すぎるもので)
(私はきょとん、とするしかなかった)
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ぽっぽ - なんか神様、まどまぎのきゅうべぇ感あるぞ (4月21日 1時) (レス) @page1 id: b2924b43fc (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 慧さん» コメントありがとうございます!まさに夢主もそんな状態だったと思われます(笑)私も書いててちょっと背中がむずがゆくなったのでwww応援ありがとうございます!これからも頑張ります! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 夢オチだった瞬間、頭から布団を被って暫く出られませんでしたw羞恥と興奮とその他諸々が行き場を失って…wご自愛下さい。お待ちしております! (2020年4月7日 23時) (レス) id: e2c5fada44 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 未光さん» お返事遅くなって申し訳ありません!お気遣いありがとうございます!今はまだ更新停滞気味ですがまた書くので、少しお待ちください! (2020年4月3日 22時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
未光(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します!みんなが幸せになれる世界線を待っていました。毎日楽しく読ませて頂いてます!言葉の遣い方が丁寧で大切に書いてくださってるのが伝わってきます!お身体ご自愛くださいね! (2020年3月27日 2時) (レス) id: 6d662f3b66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2020年3月9日 13時