Story57 ページ9
22時をまわった。看板をCLOSEにした私は、全ての会計が終わっているのを確認し、レジ締めをする。クレジットの計算も済ませ、全部をまとめて。作業をして30分。閉店時間の22時半になり、お客様のお帰りをお見送りして。ようやく一息。
「Aちゃん、お疲れ様ー」
「シゲさん…お疲れ様です。何とかなりましたね」
「うん。そうだね。不死川くんもよく頑張ってくれたよ。さっき上がってもらったから、5階で待ってるんじゃないかな?胡蝶さんも、フロアにいなかったし」
「そうですか…わかりました。…どうです?1週間、やっていけそうですか?」
2階からゴミを持ってきたシゲさんにそう聞けば、うーん、と首を傾げる彼がいた。何か問題があっただろうか。
「まぁ……不死川くんについては、多分大丈夫だと思うよ。予約次第だけど」
「問題は、週末ですね。開店から21時まで、予約がびっちりですから」
「まぁ、週末になる前に前菜とかサラダの出し方覚えてくれれば、なんとかなるかな」
「そうですか……田野中さんが、痛かったですね」
「それは言っても仕方ないからね。頑張っていこう」
「ありがとうございます」
ぺこりとお辞儀すると、シゲさんは苦笑しながらゴミ捨て場にゴミを持っていった。この1週間の予約を台帳で確認。まぁ、キャンセルなんて出ていないから、週末は予約でほぼ満席状態なのは変わらなくて。
「……あと1ヶ月半、あと1ヶ月半」
思わず凹みそうになる自分をそう言い聞かせて立ち直らせる。なんとかなる。お父さんなんて、この仕事について20年以上頑張っていたんだ。たかが1ヶ月半、私が頑張れなくてどうする。
レジ締めを終わらせて5階に上がる途中、3階の片付けを手伝ってくれていた成島が乗ってきた。2人でエレベーターを降り、お座敷の入口で彼女が止まる。
「どうしたの?成島」
「……A、むいくんが尊い」
「……は?」
言いたいことが分からず成島越しに座敷を覗くと、いっぱい散らばっている紙飛行機に埋もれるように、むいくんがあどけない寝顔で寝ていた。
(……なるほど、尊いね)
(だろ。これが尊みだ)
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灯霧(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» ぎゃあ!見つけ次第順次直していきます……!ご指摘、お気遣いありがとうございます!頑張ります! (2020年4月16日 9時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - 宇髄さんの「ずい」は骨へんですよ〜公式さんも間違えてましたね…w公式さんは少し寝た方が良いと思うんですよ…w天元郎にしちゃってましたし…夜中作業でしたら灯霧さんも寝てくださいね!!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 神夜神美さん» ありがとうございます!体調の心配まで……!腰を痛めているなうな私には有難いです!← (2020年2月23日 18時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
神夜神美(プロフ) - すごくおもしろくて最高でした!更新頑張ってくださいね!でもお体にもお気をつけてください!! (2020年2月23日 16時) (レス) id: 0f455588ed (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます!ぜひぜひ、楽しんで頂けたらなによりです! (2020年2月21日 23時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2020年2月20日 15時