Story84 ページ43
カチ、カチ、カチ。
時計の秒針の音が、静かな居間に響く。…いやなにこのすごい居づらい雰囲気!こうならないように、昨日説得を3人にお願いしたんだけど!?
「あ、あの、相沢さん…」
「Aでいいですよ、甘露寺さん。相沢さん、って家で呼ばれるの、ちょっと慣れないですし。むいくんなんて、最初から名前呼びでしたしね」
少しでも雰囲気を和ませたいと思って、思い切ったように口を開いた甘露寺さんに便乗させてもらう。すると、ぱぁあっと花が咲いたような笑顔を向けられた。…か、可愛い。愛らしいというのは彼女のためにある言葉なのだろうか。
「じゃぁ、私の事も蜜璃って呼んでください!」
「えーっと…それじゃぁ蜜璃ちゃん…?」
「小娘ごときが甘露寺に名前で呼んでもらうだと…!?(ボソボソネチネチ)」
…これは聞こえてるよって突っ込んでもいいんだろうか。すごい眼力で睨んでくる伊黒さんに冷や汗がとまらんよ。女相手に嫉妬してどうすんのアンタ!
ぐぅ。
心の中で突っ込んでいたら、いきなりそんな音。ん?と首をかしげてそちらを見ると、顔を赤らめている蜜璃ちゃん。
「あ、…すみません、その…」
「気にしないでください、蜜璃ちゃん。おなかすいたんでしょ?何かあったかなぁ」
「ああ、せっかくですしちょっと早いですが朝餉にしましょうか。甘露寺さんも手伝ってくれますか?」
「あ、うん、もちろん!」
「あ、それじゃぁ私も」
立ち上がったしのぶちゃんに続き、私と蜜璃ちゃんも立ち上がる。…こんな美人たちの隣に並んでいいのか私、ってマジで思った。貧相な自分の身体を初めて恨めしく思う。…と思ったのは私だけではないようで。
「甘露寺に飯を作らせるなど、どういうつもりだ何様だ?そもそも俺は貴様の作った飯など食わないし飲まない。信用したわけではないのだからな」
「はいはい、伊黒さんのことは放っておいて大丈夫ですよ。甘露寺さんを取られて拗ねてるだけですから」
さすがにちょっと胸が痛むわぁ…と心の中で泣きながら、しのぶちゃんのフォローにありがとうと笑顔を返して。冷蔵庫の中身を覗き込んで、うーんと悩む。さすがに6人分の食事なんて作ったことないから、分量がわからない。
「お米は5合くらいなら炊ける…ね。野菜もそこそこあるし、お野菜でお味噌汁つくろうか。あとはおかずだけど…」
(うーん、と悩みながら、私は忘れていた)
(昨夜パソコンで見た、「大食い」の一言を)
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灯霧(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» ぎゃあ!見つけ次第順次直していきます……!ご指摘、お気遣いありがとうございます!頑張ります! (2020年4月16日 9時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - 宇髄さんの「ずい」は骨へんですよ〜公式さんも間違えてましたね…w公式さんは少し寝た方が良いと思うんですよ…w天元郎にしちゃってましたし…夜中作業でしたら灯霧さんも寝てくださいね!!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 神夜神美さん» ありがとうございます!体調の心配まで……!腰を痛めているなうな私には有難いです!← (2020年2月23日 18時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
神夜神美(プロフ) - すごくおもしろくて最高でした!更新頑張ってくださいね!でもお体にもお気をつけてください!! (2020年2月23日 16時) (レス) id: 0f455588ed (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます!ぜひぜひ、楽しんで頂けたらなによりです! (2020年2月21日 23時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2020年2月20日 15時