【鬼滅の刃】引きこもりニートしようとしたら鬼殺の剣士がいらっしゃったようで……？2【逆ハー】

Story74 ページ31

土曜の朝になり、私はようやく、ギブスから解放された。まだ包帯は取れないし無理な動きはしないよう釘を刺されたけど、嬉しいことだ。


「あー、手の締め付けがないー！この解放感最高！」
「そうですか。それは良かったです」
「おめでとう、A」


帰宅した私の第一声を聞いたしのぶちゃんとむいくんが、パチパチと拍手をしてくれる。それにイェイ、イェイとブイサインで答えていると、パコっと後頭部を殴られた。不死川さんだ。


「何するんですか、不死川さん！」
「調子乗ってっと、また怪我するぞォ」
「しませんよ！」


そんな私たちのやり取りは、居間で行われている。土曜はランチの営業をしていないから、ゆっくり出勤なのだ。それを利用して病院にも行ってきた訳だが。


「さてみなさん、今日は溜まりに溜まった洗濯物をしてしまいましょ。天気予報だと、明日は雨なので」
「それはいい考えですね」


しのぶちゃんがにっこりと笑い、むいくんはうん、と素直に頷き、不死川さんはぉー、とやる気なさそうに呟く。


「とはいっても、洗濯機があるのでそれほど大変じゃないと思うんだけどね。問題は、みんなが着てきた服と羽織なんだ」


ん？と首を傾げる3人に、洗濯機の構造を説明する。つまりは水を掻き回す力で力任せに引っ張ってねじって洗うものであり、素材によっては縮んだり伸びたり色移りしたりするということ。こちらで買ったものに関しては問題ないが、彼らの着てきた隊服は聞いただけでもなんの素材を使っているか分からないということ。だって燃えにくく蒸れにくく破れにくい？そんな素材、私ゃ知らん！ということ。


「なるほどなァ…」
「洗濯板と桶は？」
「家にはないよ。どうしても必要なら、買ってくるって手もあるけど…今どきあるかなぁ」
「羽織はどうするつもりなんですか？」
「クリーニング屋さんっていう、洗濯専門のお店に持ってくよ。専門家に洗ってもらうのが1番だしね」
「……それなら、僕の隊服で洗濯機を試せばいい。もしダメになっても、僕はもう着ないから」


むいくんの申し出に固まった。いや、ネガティブな意味じゃないって分かっているんだけど…胸がチクチクする。が、それを悟られないように笑顔を浮かべた。


「ありがとう、むいくん。でも本当にいいの？」
「うん、いいよ」
「よし、じゃあその方向で！」


(こうして)
(彼らの初めてのお洗濯が)
(幕を開けた)

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